2902屁っこき爺様
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 昔、あったのです。
 じっちゃとばっちゃとありました。
 ばっちゃは座敷を掃いていました。そうしたら、豆ッコが二つ出てきました。
「じっちゃ、豆ッコを炒ったらよいか、煮たらよいかね」
「うーん、炒って、豆の粉マメノゴに挽けばいいな」
 
 ばっちゃは、大きな鍋をかけて、豆を火でカラカラと炒りました。ばっちゃは、
「じっちゃ、炒れたために、臼を出してくれろ」
と言いました。じっちゃは、女臼オナゴウスを出してくれました。
 ばっちゃは、
「じっちゃ、豆ッコはみんなつぶれたけれど、はぁーて、シノ(簀の子)が無いことだ
ねー」
と言いました。
 
「んだな、そうしたら、俺の小袴(褌)で卸そう」
と、じっちゃが言いました。
 褌フンドシに豆の粉を入れて、梯子にゴシゴシやったら、粉ッコ(コッコ)は下の方へ出
ました。
 そうしたところが、じっちゃが、
「ボーン」
と大っき屁をたれました。そうしたら豆の粉マメノゴがみんな飛んでしまいした。どっとは
らぇ。(松山)
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