28 長い名前の小僧コゾウさん(八幡平)
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
 昔、ありました。
 あるお寺に、一人の男童子ワラシが居ました。此処ココいらの仲間と、何時イツも仲こ良く遊
んでいました。けれども、その童子の名前はうんと長い名前で、
「しょうばいおうらい、およそしょうばいもちあずきにつき、しょうもん、ちゅうもん
うけとりしきりの、おぼえなり、まずりょうがえの金太郎」
と云いました。
 ある日のことでしたが、此処いらの仲間と水泳ぎに行っているうちに、金太郎が、間
違って川の巻き目(渦ウズ)に溺れてしまいました。動転ドデンした友達が走って、お寺
へ行って、玄関で大きな声をして、
「しょうばいおうらい、およそしょうばいもちあずきにつき、しょうもん、ちゅうもん
うけとりしきりの、おぼえなり、まずりょうがえの金太郎が、川へ流された」
と、二回も繰り返して、叫んでいるうちに、とうとう金太郎は助からないで死んでしま
いました。人の名前も、あんまり長過ぎれば、困ったことになるのです。
 どっとはらえ。

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