11 ばかもこ話(八幡平)
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
〈その一〉
昔、ある処に、ばかもこ(馬鹿な婿ムコ)が居りました。
 盆が来たので、舅シュウトへ舅礼に行くことにしました。そうしたら、その婿は、
「舅が居ったら、何と挨拶したら良いのだろうか」
と家の者に聞きました。そこで家の人が、
「其処ソコの家へ行ったらね、何でも其処の家の事を誉めるのです」
と教えました。
「何処ドコの家でも天井テンジョウか、雑作ゾウサクに節穴フシアナっこは一つか二つはあるもので
す。その穴っこを見付けたら、『ああ、うんと良い家ですね、この穴っこに薄板ウスイタっ
こを釘でポンポンと打てば、もっと良い家だね』と、誉めるのです」
と言いました。
 
 そこで、婿は舅の家へ行って、穴っこがないかと、ぐるっと見ました。そうしたら、
家の前に繋いでいた馬っこが居りました。婿は、
「ようし、あの馬っこを誉めなければならない」
と思って、馬の後ろに行って、馬の尾っぱに持ち上げて見ました。そうしたら馬の尻穴
ケツアナが見えたために、その尻穴を覗いて見て、
「大した良い馬っこだな、此処に穴っこが開いているな。この穴っこに、薄板っこポン
ポンと打てば、大した良い馬っこになると思う」
と言ったと云います。
 どっとはらえ。
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