04 よしこ沼(花輪)
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
 昔、ありました。
 花輪の大曲オオマガリの方へゆけば、「よしこ沼」と云う沼があると云う。
 その沼の辺ホトリに立って、
「よしこー、よしこー」
と呼ぶと、沼の水は、
「ゴボ、ゴボ、ゴボー」
と波っこを立てて、返事をすると云う。
 
 それはね、
「よしこ」と云うめんこい一人娘が居ましたが、何かの拍子に誤アヤマって、その沼に落ち
て溺オボれて死んでしまいました。
 びっくりして皆で沼を何度も探して見たが、上がって来なかったので、遂に見付かり
ませんでした。
 一人娘に死なれてしまった親達は、悔しくて悔しくて、その沼に来て、毎日のように、
「よしこ、よしこ」
と叫び続けました。すると、沼の水は、
「ゴボッ、ゴボッ、ゴボー」
と波っこを立てて返事をするようになりました。
 
 今でも誰かが、
「よしこ」
と呼ぶと、
「ゴボッ、ゴボー」
と返事をすると云う話です。
 どっとはらえ。

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