02 狐にだまされた茂右エ門(横道)
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
 昔の話っこです。
 茂右エ門モエモンさんと云う人が、近くの村へ酒粕サケカスを売りに、朝未だ暗いうちに出掛
けました。
 ところが、横道と云う処で、草刈りに来た男が畑の中を見ると、その茂右エ門さんが、
一つ、二つって数を数えていて、側で狐キツネが酒粕を喰っていました。
 草刈りの男が茂右エ門さんの側へ行って、
「何してる」
と聞いたら、
「何もしてない。酒粕を売ったので金を数えているところだ」
と言うと、茂右エ門さんもハッと気が付いて、手に持った金をよく見ると、それは馬の
骨で、今まで家の中に居たとばかり思っていたのは、畑の中でした。
 どっとはらえ。

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