130 狸の話
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 昔、昔あったのです。
 爺さんと婆さんが仲良く暮らしていました。
 ある夜のこと、爺さんが、婆さんの寝ている布団の処に手をやり、婆さんの手を握っ
たら、婆さんの手は三角の手でした。爺さんはびっくりして、『この手は婆さんではな
い、狸だな』と思い、布団をはぐと、そこには狸が婆さんに化けて寝ていました。狸は、
「はしりざき(流しの下)のばばあ見ろ!}
と大声で叫び、山の方へ逃げていったと云うことです。爺さんは、急いではしりざきへ
行って見ると、ばあさんは狸に殺されていました。どっとはらぇ。(毛馬内)
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