125 大法螺オオボラ吹きの話
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 昔、あったそうです。
 一人の大法螺吹きが遠くの方から来ました。
 ガギ(餓鬼、男の子のこと)に、
「オド(父親)は居ないか」
と訊きました。
「オド、居ない」
って、ガギがしゃべったら、
「どこへ行った?」
と、大法螺吹きが訊きました。
 
 そうしたら、ガギがしゃべりました。
「俺家オラエのオドは、富士の山が転ぶところなので、トドメを三本持って、つっぱりをか
いに行った」
「うーん、そうしたら、オガ(母親)は居ないかー」
「うん、俺家のオガは、海の下が抜けそうだと云うので、焼き餅を三枚持って、ふさぎ
に行った」
とガギが言うと、今度は大法螺吹きが、
「ぞうだか、そうしたところで、奈良の大仏さんのつき鐘が飛んで来なかったか?」
「ああ、飛んで来たよ」
「どこへ行ったのか?」
「俺の家と隣りの家の、蜘蛛の巣に引っかかって、ガンガラ、モンガラと鳴っていたの
ので、どこかへ行ったかな」
「ああ、そうか」
と大法螺吹きは、ガギにすっかり負けて、逃げて行ってしまいました。どっとはらぇ。
(丸館)
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