122 三尺三寸の男の話
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 昔、草木と云う所に、とっても小さな、いたずら者の男が居ていました。あんまり身
の丈がないので、『三尺三寸の男』と言っていたと云うことです。
 その男が、段々といたずらが多くなってしまって、あちこちで泥棒をするようになり
ました。草木の人達は、みんなで相談して、この男を追い出してしまおうと云うことに
なってね、ある日、その男を(よそへ)送って行きました。
 
 花輪の入口の所に、小さな川ッコがあったために、ヒョイと見たら、その男はどこに
も居なくて、みんなで、辺りを探してみました。そうしたら、何時の間にか、ひょっこ
り帰ってきて、手拭いやら、風呂敷を一杯持っていました。
 みんなに、
「今まで、世話になった」
と言って、その手拭いを渡して歩きました。みんなは、
「町から盗んできたのなら、貰うことは出来ない」
と言ったら、また、何時の間にか居なくなったのか、三尺三寸の男の姿はありませんで
した。
 とっても、とっても身のかわしの速い三尺三寸の男でありました。どっとはらぇ。
(草木)
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