6107宮野平の庚申塔(大湯)
参考:鹿角市文化財保護協会発行「上津野NO.9」
大湯から草木に通じる道路の、宮野平部落入口左側、薬師神社(本宮神社)の鳥居の
脇に、二つに割れた小さな石に彫られた庚申塔がある。
この庚申塔の後ろは、黒又山になっていて、山頂には薬師神社が祀られている。この
庚申塔には次のような話が伝えられている。
昔々、ずっと昔のこと。ある人が大変悪い病気に罹った。それで、大湯に湯治に行っ
たり、方々の神様に拝んで貰ったり、色々な薬も買って付けてみたが、どうしても、そ
の病気は治らなかった。
その病人は、益々悪くなって行く自分の病気を悲観して、遂に山に登って、首を釣っ
て死のうと決意した。
ある日、今日こそ死のうと思って、黒又山に登って行った。
そしたら、アケビの実る季節でもないのに、大きな紫アケビが三つも実っていた。そ
の人は、不思議だなあと思ったが、あまり美味しそうなので、そのアケビを採って食べ
てみたら、旨いこと、旨いこと、紫アケビを三つとも、みんな食べてしまった。
ところが、そのアケビを食べたら、嘘ウソのように悪い病気は治って、元の元気な身体
に戻った。
こんなにも尊い神様なので、宮野平のお婆さん達は、庚申講のときは、一晩中寝ない
で騒ぎながら、庚申様を拝んできたものだ、と。
関連リンク 「神社の碑文(本宮神社)」
関連リンク 「庚申信仰」
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