6002草木クサギの雨乞アマゴい(草木)
 
                    参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角の伝説」
 
 昔は、二本柳とか、中草木、下草木、丸館、新田シンデンなどの草木の五つの村は、少し
雨が降らないと旱魃カンバツになって、稲が育たないので飢渇ケカチ(飢饉キキンのこと)になっ
て困るものでした。
 そういう旱魃の年は、草木の人々は五つの村の人達はみんな集まって天原アマハラと云う
処の滝に雨乞いに行くのでした。
 日照りが続いて、雨乞いをしなければならなくなれば、村の婆達は集まってまず雨乞
いに行く相談をするのでした。
 相談して決まったことをみんなに知らせて歩いて、それから出掛けるのです。
 
 雨乞いの時は、太鼓を叩タタいて、鐘カネを鳴らしてみんなを集めながら二本柳を過ぎて、
天原の滝まで行くのです。
 天原の滝に着くと、まず、
「何とかして雨を降らせてくれ」
と神様にお神酒を上げて拝んでから、太鼓を叩いたり、歌を歌ったり、舞を舞ったり、
踊りを踊ったりして、お神酒を飲んで、重箱の御馳走を食べて楽しむのでした。
 それでも雨が降って来なければ、今度は滝壷に馬や牛の骨を投げ込んだり、婆達は裸
になって裸踊りしたり、女オナゴ相撲を取ったりして、神さまを怒らせるようにするもの
でした。
 そうすれば天原の龍神さんは、呆アキれて、
「婆達に負けた」
と言って必ず雨を降らせるのでした。

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