12 その他の和歌集概説
 
                         参考:講談社発行「古語辞典」
 
赤染衛門アカゾメエモン集
 平安時代(十一世紀前半)成立。私家集。赤染衛門が藤原頼通の求めに応じて自撰し
 たもの。歌集六百十一首、うち約四百首が自作か。写本によっては四百十一首を部類
 に分けたものもある。この集で作者の生涯をうかがうことができる。
 
秋篠月清ゲッセイ集
 鎌倉時代初期の成立。私家集。四巻。藤原良経の自撰で、六家集の一。百首歌・五十
 首歌を集めて千首、四季以下の部立てによって六百十五首が集められている。良経の
 「たけ高き」歌風をうかがい知ることができる。月清集。
 
伊勢大輔集
 平安時代後期成立。私家集。二冊。伊勢大輔イセノタイフ(大中臣輔親の女、三十六歌仙の
 一人)自撰。上東門院藤原彰子に仕え、紫式部ら才女との公私にわたっての生活を、
 詞書きと歌につづったもので、歌はなだらかで、個性の強さは見えない。
 
柿本朝臣人麻呂歌集
 文武天皇時代(697〜707)以後の成立か。詳細不明。巻数不明。歌集。柿本人麻呂編
 か。現存しないが万葉集編集当時にはその材料として使われ、万葉集に引用された部
 分から、自作を主にして他人の作をも加えたものと推定される。
 
笠朝臣金村歌集
 天平時代(729〜749)成立か、詳細不明。巻数不明。上代の歌集。笠金村編。自身の
 作を主に、他人の作も少数ながら集めた内容と考えられ、万葉集編集時には資料とし
 て用いられたらしく、諸処に引用されている。
 
金槐キンカイ和歌集
 建暦ケンリャク三年(1213)までに成立。家集。一巻。源実朝著。二十二歳までの歌六百六
 十三首(定家本)を四季・雑の六部に分けてのせる。力強い独自の境地を持つ万葉調
 と、定家の影響による新古今調と両面の歌が見え、感傷的な作も少なくない。別名、
 鎌倉右大臣家集。
 
建礼門院右京大夫集
 貞永ジョウエイ元年(1323)頃成立。私家集。一巻。建礼門院の右京の大夫の自撰。建礼
 門院への宮仕え、平資盛との恋愛、資盛死後の心境などを中心とする、長文の詞書き
 を持つ自作歌約三百首、他作約六十首をほぼ年代順に並べた歌集。
 
古今和歌六帖
 十世紀後半、拾遺集撰進の前頃の成立か。類題和歌集か。六巻。編者不明。万葉集・
 古今集・後撰集を中心とする百九十三人の和歌約四千五百首を三十項五百三題に分類
 してのせる。作歌上題詠などの参考としてつくられたものであろう。後、新撰六帖な
 どの類書を生んだ。略称、古今六帖。別名、紀氏六帖。
 
山家サンカ集
 平安時代末期から鎌倉時代初期の成立。私家集。二又は三巻。西行法師作。編者不明。
 歌数約千五百首(伝本により大きく相違する)。自然の愛を讃え、平明枯淡なうちに
 気品・豊麗さを持った作が多く、後世の文学に大きな影響を与えた。別名、西行法師
 家集。
 
三十六人集
 平安時代末期の成立か。私家集の集成。集成者不明。平安時代中期の歌人藤原公任が、
 優秀な歌人として選んだ三十六人の歌人(万葉時代三人、古今・後撰時代三十三人、
 後にこれを中古三十六歌仙、単に三十六歌仙・歌仙とも呼んだ)の家集を集成したも
 の。後世、和歌の手本とされ、また、これを真似て種々の家集集成ができた。
 柿本人麻呂・山部赤人・大伴家持・猿丸大夫・遍昭・小野小町・在原業平・紀貫之・
 紀友則・凡河内躬恒・藤原兼輔・藤原敏行・壬生忠岑・坂上是則・藤原興風・源重之
 ・大中臣頼基・源公忠・平兼盛・小大君・中務・藤原元真・伊勢・源宗千・斎宮女御
 ・藤原敦忠・藤原高光・源信明・清原元輔・大中臣能宣・藤原仲文・源順・藤原清正
 ・壬生忠見・藤原朝忠・素性の三十六人の家集が入る。
 
散木サンボク奇歌集(「散木集」とも)
 平安時代後期(十二世紀前半)成立。私家集。二巻。源俊頼撰。自作の和歌千六百二
 十三首を四季以下十部に分類収録。新奇な内容・題材、自由な言葉の駆使、奔放な歌
 調など俊頼の作歌傾向が表れている。
 
式子シキコ内親王家集
 成立年不明(鎌倉時代前期か)。私家集。一巻。撰者不明。後人が三度の百首歌と勅
 撰集中の歌とをもとに選んだ約三百六十首から成る。当代第一の女流歌人であった内
 親王の特色をよく表す。別名、前斎院御集サキノサイインノギョシュウ。
 
寂蓮法師集
 成立年不明(鎌倉時代か)。私家集。一巻。寂蓮法師作。撰者不明。勅撰集に入る歌
 その他の歌を収録。数種の本があり、歌数は一定しないが、最も多いもので二百七十
 二首。繊細で、巧みな表現、静かな趣を詠んだ作者の特徴がうかがえる。別名、寂蓮
 家集。
 
拾遺愚草
 建保ケンポウ四年(1216)成立(天福テンプク元年(1233)まで追補)。私家集。四巻。藤
 原定家自撰。自作の百首歌、四季・賀・恋・雑の部の歌など三千八百二十九首(他作
 百七十六首を含む)を収める。当代歌壇の第一人者定家の妖艶な歌風をよく表してい
 る。
 
拾玉集
 鎌倉末期から南北朝までの間に成立。私家集。七巻。慈円作。前四巻は嘉暦年間
 (1326〜1329)頃成立、後三巻は尊円法親王撰で貞和二年(1346)成立。歌数四千六
 百首。大部分は百首歌だが、題詠や俊成・定家その他との贈答歌、今様などもある。
 技巧の目立たない、平易・自由な表現の述懐歌が多い。
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