06a 客の心得
 
△茶室 − 点前テマエ
 初めに、正客の前の畳の縁ヘリの外に、お茶を入れた茶碗が出される。
 正客はその茶碗を畳の縁の内の、次客との間に置き、次客に、
「お先に」
と挨拶する。
 次に縁内膝の前に茶碗を置き、亭主に、
「お手前頂戴します」
と挨拶して、右手で茶碗を取り、左の掌に載せ、右手を添えて軽く頂く。これは、亭主
の労に報いるための、客の礼儀とされる。
 
 茶碗には正面があるとされ、お茶を飲むときは正面を避けることとされる。
 さて正客は、手前に向けられて出された茶碗の正面を少し(又は九十度・若しくは一回
半)廻し、三〜数回ほどで飲み干す。最後に飲み干すとき、スーッと微音を発てること
によって、亭主は客の飲む様を見なくても、客がお茶を飲み終わったことが分かる。
 飲み口を指先で拭い、指先は懐中紙で拭く。
 
 飲み終わったら、今度は茶碗の正面を手前に向け直し、畳の縁の外に置き、両手を突
いて、茶碗の全体の形を観る。次に両肘を膝につけるような姿勢で、手に取って、細か
い所を拝見する。そして今一度縁外に置いて、全体を観る。次に縁内次客との間に茶碗
を置いて、
「お先に」
と挨拶し、縁外に戻す。
 
 点前の終わりに客は、「棗、茶杓」を拝見する。
 亭主は、客から拝見の挨拶があると、棗・茶杓を客の前に出す。
 客一同の拝見が終わると、正客は出された元の位置に戻す。
 亭主はこれらを引きにくる。正客は、これらの由来縁起を亭主に尋ねる。亭主はこれ
に答えて、棗・茶杓を引き、茶道口の外に座して、客に一礼する。客もそれに応じて一礼
する。
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