05 道具の見所(二)
 
△台子飾ダイスカザリ
 台子飾は、中国渡来の道具類を唐物カラモノと称して、貴重なものとしていた名残とされ
る。
 従って台子飾は、茶道の最高の飾り方である。
 台子は、黒真塗四本柱の棚で、禅宗の仏具として鎌倉末期に中国から渡来した。中に
風炉釜を据え、唐金製の水指、柄杓立エシャクタテ、建水ケンスイ、蓋置フタオキを飾るのが正式であ
るが、後世唐金に替わり、仁清風の色絵の磁器製の物が出来た。
 台子の上には茶器を飾るのであるが、ときには香合コウゴウ、羽箒ハボウキなどを飾ること
もある。
 台子は、四畳半以下の茶室では用いない。
 台子飾が「真」の飾り方であるとすれば、小間に風炉釜のみを据えて点前をするのは、
わびの茶の湯であり、位付けからは「草」の飾り方と云える。
 
△茶筅チャセン
 宋時代に中国で使用していたものは、竹べらのようなものの先を細かく割ったもので
あったが、わが国に渡来してからは、いろいろ改良された。
 種類を大別すると、荒穂アラホと数穂カズホに分けられる。
 荒穂は、穂が荒く、数も少ない。濃茶は抹茶を練ることにあるので、荒穂のように穂
の強いものが良い。
 数穂は、細かく割った穂が細く、数が多く、薄茶用である。
 茶筅は、客を迎える度に新しくするのが、茶人の心得とされている。
 
△菓子器
 茶の湯では、縁高フチダカに菓子を盛って客に進めるのが正式である。菓子は、昔は懐石
の一部としていたので縁高に盛ったのであるが、煮しめのようなものや、果実であった。
 その後近世になって砂糖菓子が作られるようになると、縁高から菓子鉢に盛られるよ
うになった。
 
 菓子鉢に盛られる菓子は、主菓子オモガシである。煎餅風の菓子や飴製の菓子は干菓子と
云い、盆などに盛られる。
 主菓子は濃茶用で、干菓子は薄茶用であるが、最近では、薄茶だけの茶会でも、主菓
子と干菓子の両方が出される。
 
△建水ケンスイ(こぼし)
 建水は茶碗を洗った湯や水を捨てるもので、正式には木地の曲物を用いる。
 しかしわびの茶の湯には、南方辺りの水壺の蓋を建水に用いたり、民芸品の腰さげ弁
当を用いたりもする。
 建水は汚れた役を担うので、木地のものは新しいものを用いるのが、茶人の心得であ
る。
 
△蓋置アタオキ
 蓋置は、釜の蓋を置く台である。陶磁器や唐金、竹などで作られる。
 蓋置は棚を使った場合は、点前の終わりに、柄杓と共に棚の上に飾られるが、竹製の
ものは、特別の物以外は飾らない。
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