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「鏡を覗く」考

 
[思考の行き着く先は、原初なり]
 
 人間が、思考に思考し、深さがまた深くなればなるほど、やがては振り出しに戻ることになる。
 
 同一線上の思想体系では、その思考の積み重ねの過程においては、相反する結論、相敵対する結論に至ることがある。
 
 例えば、仏教においては、教祖釈尊の他に、またその奥に久遠実成の釈迦牟尼も存すると云うし、何れの釈尊を信ずればよいか迷うではないか。また、教えを行うに、出家すればよいのか、在家で行えばよいのか迷うことになる。
 一方聖書の世界では、その解釈の仕方如何で、いま現在、敵対しているではないか。
 
 思考の挙げ句の果てには、例えば、「色即是空」の考えに到達してしまうことにもなる。即ちそこは「空」の世界、「無」の次元である。しかし、そのことを認識するのは人間である「自分」しかいない。と云うことは、現実にそこに一人の自分がいることで、この考えが成り立つ。
 従って、そこには、赤裸々な、原初の世界があることになるのである。
H16.01.21
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