29 地ツチ・クニを詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△名称
あめつしのいづれのかみをいのらばか うつくしははにまたこととはむ(萬葉集 二十)
 
△日本ヒノモト
なまよみの 甲斐の国 打ちよする 駿河の国と こちごちの 国のみ中ゆ 出で立て
る ふじの高嶺は 中略 日本ヒノモトの やまとの国の 鎮めとも います神かも 下略
                                 (同 三雑歌)
 
唐土の梢もさびし日の本の はゝその紅葉散りやしぬらむ
                      (続古今和歌集 十羇旅 権僧正栄西)
 
我国はあまてる神のすゑなれば 日の本としもいふにぞ有ける
             (玉葉和歌集 二十神祇 後京極摂政前太政大臣藤原良経)
 
△大八洲国オホヤシマクニ
やちほこの かみのみことは やしまくに つままぎかねて とほとほし こしのくに
に さかしめを ありときかして くはしめを ありときこして 下略(古事記 上)
 
△葦原中国
日本ヒノモトの やまとの国を かみろぎの すくなびこなが 葦菅アシスゲを うえおふしつ
ゝ 国かため 造りけむより 云々(国号考/続後紀長歌)
 
△やまと
なくはしき稲見イナミの海の奧津浪オキツナミ 千重チヘに隠りぬやまと島根は(萬葉集 三雑歌)
 
△磯城島シキシマ
磯城島シキシマの 日本ヤマトの国に いかさまに おもほしめせか つれも無き 城上キノヘの
宮に 下略(萬葉集 十三挽歌)
 
△改地名
君が代も我よもともに長浜の 真砂の数のつきやらぬまで(豊鑑 一長浜真砂)
 
△吾妻国
鶏トリがなく 東アヅマの国に 高山は さはにあれども 明神フタガミの 貴タフトき山の な
みたちの 見がほし山と 神代より 人の言ひ嗣ぎ 国見する つくばの山を 冬ごも
り 時じくときと 見ずていなば まして恋ひしみ 雪げする 山道ヤマミチすらを なづ
みぞ 吾が来コし(萬葉集 三雑歌)
 
鶏が鳴く 吾妻の国に 古昔イニシヘに 有りける事と 今までに 絶えず言ひ来クる かつ
しかの まゝのてこなが 下略(同 九挽歌)
 
気イキの緒ヲにあがもふ君は鶏が鳴く 東方アヅマの坂を今日か越ゆらむ
                           (同 十二古今相聞往来歌)
 
白雲のこなたかなたにたち別れ 心をぬさとくだく旅かな
                      (古今和歌集 八離別 良峯ひでをか)
△九州
舟路には草のまくらもむすばねば おきながらこそ夢も見えけれ
                           (拾遺和歌集 六別 重之)
 
△国・名称
やすみしゝ 吾が大王オホキミの きこしめす 天下アメノシタに 国はしも さはに有れども 
山川の 清き河内カフチと 御心ミココロを 吉野ヨシヌの国の 花散らふ 秋津の野辺に 下略
(萬葉集 一雑歌)
 
こもりくの 泊瀬の国に さよばひに 吾が来たれば 下略(同 十三問答)
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