24 年始を詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△四方拝
すべらぎの星をとなふる雲の上に 光のどけき春は来にけり(年中行事歌合 女房)
 
△朝賀
雲の上にきこえあげよとよばふらし 年の始の万代の声(年中行事歌合 前大納言)
 
△小朝賀
天皇はわたくしなしととゞめしを 臣等言葉にまたぞしたがふ(年中行事歌合 内大臣)
 
△元日節会
むつきたつけふのまとゐや百敷の 豊の明の始なるらん(顕昭陳状 顕昭)
 
立初るむ月のけふのひのためし たえずそのふる御代もかしこし(新撰六帖 一 家良)
 
けふぞしる年は昨日にくるす野の ひ池の水のふかき心を
                        (年中行事歌合 入道大納言忠嗣)
 
四の海なみしづかなる御代なれば はらかのにえもけふそなふなり
                             (新撰六帖 一 家良)
 
新アタラシキ年の始めのはつはるの けふふるゆきのいやしけよこと(萬葉集 二十)
 
△大饗タイキャウ
ときは山おひつらなれるたまつばき きみがさかゆくつゑにとぞきる
きみがりとありつるつかひきにけらし のべのきゞすはとりやしつらん
かすがのにとしもへぬべしかみのます みかさの山にきたりとおもへば
このやどにわれをとめなんいけみづの ふかきこゝろにすみわたるべく
くらぶべきこまもあやめのくさもみな みづのみまきにひけるなりけり
かくのみもきくをぞ人はしのびける まがきにこめてちよをおもへば
はるのはなあきのもみぢもいろいろに さくらのみこそひとゝきもみれ
やまざとのもみぢみにとやおもふらん ちりはてゝこそとふべかりけれ
                        (以上 栄花物語 十三木綿四手)
 
君ませとやりつる使きにけらし 野辺のきゞすはとりやしつらん
                 (後拾遺和歌集 一春 入道前太政大臣藤原道長)
 
万代の舞の袖ふるやどにこそ あるじたづねてもろ人もくれ
                       (夫木和歌抄 三十六賀 祭主輔親)
 
ひきつれて大宮人のきませれば 春うれしくもおもほゆる哉(兼盛集)
 
△臨時客
はつ春の宿のあそびのおりえてぞ 梅がえうたふ声も聞ゆる
                          (年中行事歌合 忠頼朝臣)
 
むらさきの袖をつらねてきたるかな 春立つ事は是ぞうれしき
                        (後拾遺和歌集 一春 赤染衛門)
 
むれてくる大宮人は春をへて かはらずもがらめづらしきかな(同 小弁)
 
むらさきもあけもみどりもうれしきは 春のはじめにきたる也けり
                             (同 藤原輔尹朝臣)
 
諸人のまつひきつれてくる宿に 春の心はやまにざりける
                           (二条太皇太后宮大弐集)
 
はるたてばまづもろ人もひきつれて 万代ふべきやどにこそくれ
                     (栄花物語 三十六根合 内の式部命婦)
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