22 季節を詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△春
山代ヤマシロの久世クゼの鷺坂サギサカ神代より 春ははりつゝ秋は散りけり(萬葉集 九雑歌)
 
霞たちこのめも春の雪ふれば 花なき里も花ぞちりける
                       (古今和歌集 一春 きのつらゆき)
 
おしめども春のかぎりのけふの又 夕暮にさへなりにけるかな
                       (後撰和歌集 三春 よみ人しらず)
 
△秋
金野アキノノのみ草苅り葺きやどれりし うぢのみやこのかりほしおもほゆ(萬葉集 一)
 
△二十四気
久方の天のかぐ山この夕ユフベ 霞たなびく春立つらしも(萬葉集 十)
 
つきよめばいまだ冬なりしかすがに 霞たなびくはるたちぬとか(同 二十)
 
年の内に春はきにけり一とせを こぞとやいはんことしとやいはん
                         (古今和歌集 一春 在原元方)
 
あすしらぬ我身なりともうらみおかん この世にてのみやまじとおもへば
                   (拾遺和歌集 十二恋/五月夏至 よしのぶ)
 
秋きぬと目にはさやかに見えねども 風のおとにぞおどろかれぬる
                   (古今和歌集 四秋/秋立日 藤原敏行朝臣)
 
かは風のすゞしくもあるかうちよする 浪とともにや秋にたつらん(同 つらゆき)
 
我背子が上裳のすその水かみに けさこそ冬は立はじめけれ
                    (千載和歌集 六冬 花園左大臣家小大進)
 
△節分
いづこまで春はいぬらん暮はてゝ 別しことはよるになりにき
                           (隣女晤言 一/四月朔日)
 
くれはてゝ春のわかれのちかければ いくらのほどもゆかじとぞ思ふ
                              (同 兵衛佐命婦)
[次へ進む] [バック]