17 虹を詠める和歌
 
                      参 考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△名称
いかほろのやさかのゐでにたつぬじの あらはろまでもさちをさねてば
                              (萬葉集 十四東歌)
 
△室八島烟
いかでかはおもひありともしらすべき むろのやしまの煙ならでは
                       (詞花和歌集 七恋 藤原実方朝臣)
 
たえずたつむろの八島の煙かな いかにつきせぬおもひなるらん
                        (千載和歌集 十六雑 藤原顕方)
 
△陽炎
東ヒムガシの野ヌに炎カギロヒの立つ見えて かへり見すれば月かたぶきぬ(萬葉集 一雑歌)
 
蜻火カギロヒの もゆる荒野アラヌに 白妙の 天アマひれかくり 下略(同 二挽歌)
 
今更に雪ふらめやも蜻火カギロヒの もえる春べとなりにしものを(同 十春雑歌)
 
あるとみてたのむぞかたきかげろふの いつともしらぬ身とはしるしる
                             (古今和歌六帖 一天)
 
しずけくて吹くる風もなき空に みだけてあそぶいとぞみえける
                          (永久四年百首 春 源忠房)
 
のどかなる夕日の空をながむれば うすくれなゐにそむるいとゆふ
                      (夫木和歌抄 三遊糸 従二位家隆卿)
 
△武蔵野逃水
東路に有といふなるにげ水の にげのがれてもよをすぐすかな
                        (散木葉歌集 九雑 沙弥能貪上)
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