11 霜を詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△名称
くれかゝるみねのしばやのゆふしもに たれしら雲の衣うつらん
                     (夫木和歌抄 十四擣衣 後九条内大臣)
 
△秋霜
心あてにをらばやをらんはつ霜の おきまどはせる白菊の花
                        (古今和歌集 五秋 凡河内躬恒)
 
秋の野のちぐさの色もかれあへぬに つゆをきこむるよはのはつ霜
                   (夫木和歌抄 十四秋霜 中宮権大夫家房卿)
 
思ふより又もあはれはかさねけり 露にしもをく庭のよもぎふ(同 寂蓮法師)
 
△冬霜
葦べ行く鴨のはがひに霜ふりて 寒きゆふべは家しおもほゆ(萬葉集 一雑歌)
 
天アマ飛ぶや雁のつばさをおほひばの いづくもりてか霜のふりけむ(同 十秋雑歌)
 
木の葉みなからくれなゐにくゝるとて 霜の跡にもおきまさるかな
                             (古今和歌六帖 一天)
 
谷ふかき岩やにたてる霜ばしら たが冬こもる栖なるらん(新撰六帖 一 光俊)
 
△春霜
苗代のころまでむすぶ春の霜 民のこゝろをいかゞなげかぬ
                       (夫木和歌抄 五苗代 民部卿為家)
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