10 露を詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△名称
みせはやなあかつき露のをき別 篠分るあさの袖のけしきを 中略
                        (夫木和歌抄 十三露 家長朝臣)
 
萩の花さきみだれたる玉ぼこの 朝の露は色ことにみゆ(同 花山院御製)
 
ふぢばかまあらぬ草葉もかほるまで 夕露しめる野べの秋風(同 定家卿)
 
ゆふ露にひもとく花は玉ぼこの たよりにみえしえにこそありけれ
ひかりありとみし夕がほのうは露は たそかれ時のそらめ成けり
                           (以上 源氏物語 四夕顔)
 
みやぎ野の小萩を分て行水や 木の下露のながれなるらん
                      (夫木和歌抄 十三露 正三位季経卿)
 
わがやどのゆふかげ草の白露の けぬがにもとなおもほゆるかも(萬葉集 四相聞)
 
うらがるゝ野べの草ばの霜とけて あさ日にかへる秋の白露
                    (夫木和歌抄 十六枯野 前大納言忠良卿)
 
秋の露はうつしなりけり水鳥ミヅトリの 青羽アヲバの山の色付く見れば
                              (萬葉集 八秋雑歌)
 
△露霜
烏玉ヌバタマのわが黒髪にふりなづむ 天の露霜ツユジモ取ればきえつゝ(萬葉集 七雑歌)
 
妻恋ひに鹿鳴く山辺ヤマベの秋はぎは 露霜寒み盛りすぎゆく(同 八秋雑歌)
 
色つかふ秋の露霜なふりそね 妹がたもとをまかぬ今夜コヨヒは(同 十秋相聞)
 
萩が花ちるらん小野の露霜に ぬれてを行かむさ夜はふくとも
                        (古今和歌集 四秋 読人しらず)
 
△雑載
みれどなを野べにかれせぬ玉ざゝの 葉分の露はいつもきえせじ
                   (続古今和歌集 十九雑 天暦贈太皇太后宮)
 
しら玉かなにぞと人のとひしとき 露とこたへて消なまし物を(伊勢物語 上)
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