06 星を詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△牽牛星
牽牛ヒコボシは 織女タナバタツメと 天地の 別れのときゆ いなむしろ 河に向き立ち お
もふ空 やすからなくに 嘆く空 やすからなくに 下略(萬葉集 八秋雑歌)
 
△太白星
世の人の 貴タツとみねがふ 七種ナナクサの 宝も我れは 何せむに わがなかの うまれ
出でたる 白玉の わが子古日フルヒは 明星アカボシの あくる朝アシタは しきたへの とこ
のべさらず 立てれども をれどもともにたはふれ 夕星ユフヅツの ゆふべになれば い
ざねよと 手をたづさはり 下略(萬葉集 五雑歌)
 
夕星ユフヅツもかよふ天道アマヂを何時までか 仰アフぎて待たむ月人ツキヒトをとこ
                                (同 十秋雑歌)
 
△雑載
きた山にたなびく雲の青雲の 星わかれゆき月もわかれて(萬葉集 二挽歌)
 
あまつ星道もやどりもありながら そらにうきてもおもほゆるかな
                    (拾遺和歌集 八雑 贈太政大臣菅原道真)
 
天の海に雲の波立ち月の船 星の林にこぎかくる見ゆ(萬葉集 七雑歌)
 
ほとゝぎすなくね雲井にとゞろきて ほしのはやしやうづもれぬらん
                         (夫木和歌抄 八夏 俊頼朝臣)
 
今ぞしる雲の林のほしはらや そらにみだるゝほたるなりけり(同 大納言経信卿)
 
我ひとり鎌倉山を越ゆけば 星月夜こそうれしかりけれ(永久四年百首 雑 常陸)
 
ことわりや雲ゐにのぼる君なれば 星の位もまさるなりけり(頼政集 雑)
 
△天河アマノガハ
天漢アマノガハあひ向き立ちてわが恋し 君にますなり紐解きまけな(萬葉集 八秋雑歌)
 
久方の漢アマノカハ瀬セに船うけて 今夜コヨヒか君がわがり来まさむ(同)
 
わがうへに露ぞおくなる天の川 とわたる舟のかいのしづくか
                       (古今和歌集 十七雑 読人しらず)
 
狩くらし七夕つめに宿からん あまのがはらに我はきにける(伊勢物語 下)
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