32b 《色いろいろ》
201苗色ナエイロ
苗のような色の意で,薄い萌黄モエギ色をいう。▽くすんだ黄。
202若葉色ワカバイロ
生え出て間もない草木の葉のような色。▽くすんだ黄緑。
203柳色ヤナギイロ
柳の葉のような色。▽くすんだ黄緑。古くは,萌黄モエギ色の経
タテイトで織った,白味がかった青色を言った。柳の新芽は浅緑に
擬ナゾラえていう。
204裏葉柳ウラバヤナギ
柳の葉の裏に似た色。▽ごく薄い緑。「柳色」より更に白味の
色をいう。
205松葉色マツバイロ・松の葉色マツノハイロ
松の葉のような色。▽暗い黄緑。古く,「松の深緑」とか「深
緑常盤の松」とか,深緑の名として用いられた。
206若緑ワカミドリ
瑞々ミズミズしい色。特に松の若葉の色をいうことが多い。▽明
るい黄味の緑。
207浅緑アサミドリ
薄い緑色。▽くすんだ黄味の緑。
208山葵色ワサビイロ
山葵のような色。▽くすんだ黄緑。ワサビはアブラナ科の多年
草。根茎を擂り下ろして香辛料とする。「山葵色」には柔らか
い緑の印象がある。
209麹塵キクジン
麹黴コウジカビの色によるといわれる色。▽灰黄緑。古くは刈安カリ
ヤス,紫草ムラサキに灰を加えて染めた。この色は特に天皇の褻ケ(公
の晴れに対して日常的な私ごと)の袍ホウの色として禁色キンジキと
された。
210山鳩色ヤマバトイロ
山鳩の羽のように,黄色に青色のかかった色。▽緑味の灰色。
古く「麹塵キクジン」のことを言った。
211オリーブグリーン
オリーブの葉のような緑色。▽暗い灰黄緑。
212緑色・翠色ミドリイロ
青と黄との間色。加法混色における三原色(赤・緑・青紫)の
一つ。また,基本色の一つ。草木の葉のような色をいう。▽鮮
やかな緑。
213暗緑色アンリョクショク
深い緑色。▽暗い緑。
214常磐色・常盤色トキワイロ
松,杉などの常磐木の葉のような色。年中葉の色が緑色で変わ
らないところから,永久に変わらない色という美称として用い
られた。▽くすんだ緑。「ときわ」は「とこいわ」を語源とし,
常に変わらない岩の意から。
215マラカイトグリーン
孔雀クジャク石から作られた顔料の色による名。▽濃い緑。マラカ
イト即ち孔雀石は銅の含水炭酸塩鉱物。ダイヤモンド光沢又は
ガラス光沢を持つ。
216若竹色ワカタケイロ
その年に生え出た若い竹のような色。青竹より更に若々しい竹
の色の意。▽くすんだ青味の緑。
217青竹色アオダケイロ・アオタケイロ
青竹のような色。青竹は,幹の青い生の竹を言う。▽くすんだ
青緑。「若竹色」と共に比較的新しい色名で,「マラカイトグ
リーン」の訳語に当てることがある。
218薄緑ウスミドリ
薄い緑色。▽緑。
219灰緑ハイミドリ
灰色がかった緑色。▽灰緑。
220白緑ビャクロク
白っぽい緑色。▽ごく薄い緑。
221深緑フカミドリ
深い緑色。▽濃い緑。
222エメラルドグリーン
エメラルドのような明るい,冴えた緑色。▽緑。エメラルドは
宝石の一つ。濃緑色。五月の誕生石で無窮,清廉を表す。緑玉
石,翠玉,翠力石などともいう。
223コバルトグリーン
酸化コバルトと酸化亜鉛からなる緑色顔料から作られる色。▽
明るい力。顔料のコバルトグリーンは,下地の色を覆い隠す力
が大きく,安定している。絵の具,パステルなどに用いられる。
224緑青色ロクショウイロ
緑青のような色。▽くすんだ力。緑青は,銅に生じる緑色の錆
サビの総称。緑色の顔料としても用いる。
225青磁色・青瓷色セイジイロ
青磁のような色。▽くすんだ青味の緑。青磁は,生地・釉ウワグス
リ・ユウに鉄分を含有し,焼き上がると青緑色,又は淡黄色・黄褐
色を呈する磁器。
226木賊色・砥草色トクサイロ
木賊の茎のような色。▽くすんだ青味の緑。トクサはシダ類ト
クサ科の常緑多年草。
227千草色チグサイロ
薄い浅葱アサギ色。▽明るい灰緑。千草は露草ツユクサの異名。その
花のような色の意か。
228ビリジャン
酸化クロームの水和物からなる,耐久性のある青緑色の顔料か
ら作られる色。▽くすんだ青味の緑。
229クロムグリーン
クロムイエローとプルシャンブルーとの混合物からなる緑色顔
料から作られる色。クロームグリーン。▽暗い緑。酸化クロム
の緑をいうこともある。
230鉄色テツイロ
鉄のような色。鉄の色からとも,陶磁器の下絵顔料にする,コ
バルト化合物を含んだ鉱物呉須ゴスによる色からともいう。▽ご
く暗い青緑。
231革色カワイロ
革を染めるのに,多くこの色を用いたところから,名付けられ
た色。▽暗い灰緑。
232青緑アオミドリ
青味を帯びた緑色。基本色の一つ。▽青緑。
233ピーコックグリーン
孔雀の羽根のグリーンのような色。▽青緑。クジャクはキジ科
の鳥。
参考「色の手帖」小学館発行
[次へ進む] [バック]