32a  《色いろいろ》
 
    171淡黄色タンコウショク
     淡い黄。▽薄い黄。
     172深黄フカキ・フカキキ・コキ
     濃い黄。▽黄。
     173ネープルスイエロー
     アンチモン酸鉛を主成分とする黄色顔料から作られる色。▽く
     すんだ黄。ナポリの黄色の意で,イタリアのナポリ近郊から産
     出するものが有名であったところからの名。
     174クロムイエロー
     クロム酸鉛を主成分とする黄色顔料。また,その顔料から作ら
     れる色。クロームイエロー。黄鉛オウエン。▽黄。
     175蒲公英色タンポポイロ
     蒲公英の花のような色。▽鮮やかな黄。タンポポはキク科の多
     年草。
     176向日葵色ヒマワリイロ
     向日葵の花のような色。▽鮮やかな黄。ヒマワリはキク科の一
     年草。
     177カナリヤ色
     カナリヤの羽毛のような色。カナリーイエロー。▽緑味の黄。
     カナリヤはアトリ科の小鳥。
     178レモン色・レモンイエロー
     熟したレモンにような色。レモンイエローは,クロム酸バリウ
     ム又はクロム酸ストロンチウムから作られる淡黄色の顔料から
     作られる色。▽緑味の黄。
     179菜の花色ナノハナイロ
     油菜アブラナの花のような色。▽緑味の黄。菜の花は,油菜に限ら
     ず,花がよく似ている蕪カブ,小松菜コマツナなども一般には区別せ
     ずにいう。アブラナはアブラナ科の一,二年草。菜種,菜の花
     ともいう。ただし,菜種油ナタネアブラの花を色名とするのは比較的
     新しいことと思われる。古く「菜種色」とあるのは,その花の
     色ではなく菜種油の色と考えられる。
     180緑黄色リョクオウショク
     緑がかった黄色。▽緑味の黄。
   
     181黄蘗色・黄膚色キハダイロ・キワダイロ
     黄蘗の樹皮で染めた色。▽緑味の黄。キハダはミカン科の落葉
     高木。「おうばく」とも。
     182刈安・青茅カリヤス
     刈安で染めた色。▽濃い緑味の黄。カリヤスはイネ科の多年草。
     薄ススキに似てやや小形。
     183芥子色・辛子色カラシイロ
     芥子の色。また芥子を練って香辛料や薬用としたものの色。▽
     くすんだ黄。カラシはアブラナ科の草本芥子菜カラシナの種子,ま
     たその種子を粉にしたもの。
     184桑染クワゾメ
     桑の根皮又は木皮の煎汁に,木灰を媒染に用いて染めた色。▽
     くすんだ黄。クワはクワ科の落葉高木。果実は紫黒色に熟し甘
     味がある。
     185生壁色ナマカベイロ
     塗りたてで,まだよく乾いていない壁のような色。▽灰黄。
     186油色アブライロ
     菜種油のような色。▽くすんだ黄。
     187利休色リキュウイロ
     茶人千利休センノリキュウ好みの,緑味の黄で,利休茶ともいう。▽灰
     黄。千利休(1521〜91)は,安土桃山時代の茶人。堺の人。
   
   〈緑系の色〉
   
     188青丹アオニ
     「に」は土の意で,青黒い土のような色。また青色顔料の土か
     ら作られた色。▽灰黄。古く,奈良坂の辺りから,顔料や塗料
     として用いる。「青土アオニ」を産出したというところから「あお
     によし」は奈良の枕詞として,「青丹吉アオニヨシ寧楽ナラのみやこは
     咲く花の薫ニホふが如く今盛りなり(小野老/万葉集)」のよう
     に用いられる。ただし,産出したという証拠はなく,当時の奈
     良の,建物の青や丹の美しさが連想されていたとも考えられて
     いる。
     189オリーブ色(橄欖カンラン色)
     オリーブの実のような色。▽暗い緑味の黄。オリーブはモクセ
     イ科の常緑高木。黄白色の花には芳香がある。日本には,江戸
     時代の末に渡来した。近代,カンラン科の常緑高木「カンラン
     」と混同され,「橄欖カンラン」と書いてオリーブと読ませたりす
     る。
     190海松色・水松色ミルイロ
     海松のような色。▽暗い灰黄緑。ミルは緑藻類ミル科の海藻。
   
     191根岸色ネギシイロ
     根岸土で上塗りした根岸壁のような色。▽緑味の灰色。根岸壁
     は,砂質の上等な上塗り用の壁土をいう。
     192鴬色ウグイスイロ
     鴬の羽の色にに似たいろ。▽暗い灰黄緑。ウグイスはウグイス
     科の鳥。ウグイスの背の色をいう鴬茶の方が古くからあった。
     193鶸色ヒワイロ
     鶸の羽を連想させる色。▽黄緑。ヒワはアトリ科の小鳥のうち,
     マヒワ,ベニヒワ,カワラヒワの総称。元来はマヒワを指す。
     194黄緑キミドリ
     黄色の加わった緑色。基本色の一つ。▽鮮やかな黄緑。
     195抹茶色マッチャイロ
     抹茶のような色。▽くすんだ黄緑。抹茶は,上等の製茶を臼で
     碾ヒいて粉末にしたもので,多く茶の湯に用いる。
     196柳茶ヤナギチャ
     茶がかった柳色。「威光茶」ともいう。▽くすんだ黄緑。
     197苔色コケイロ/モスグリーン
     苔のような濃い,萌黄モエギ色。モスグリーンは「苔の緑」の意。
     ▽暗い黄緑。
     198草色クサイロ
     草の葉のような色。▽暗い黄緑。
     199萌葱・萌黄・萌木モエギ
     芽が出たばかりの草木の色。▽黄緑。「萌葱」は葱ネギの萌え出
     る色の意であるが,後世の当て字。草や木の若芽が萌え出る色
     でもあるところから,「萌黄」「萌木」と書く。
     200若草色ワカクサイロ
     芽を出して間もない草のような色。▽黄緑。
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