32 《色いろいろ》
〈黄系の色〉
150雄黄ユウオウ
砒素ヒソの硫化鉱物「雄黄」の色。普通赤味の黄色で純粋なもの
は古くから顔料として用いられている。▽くすんだ赤味の黄。
温泉の噴気孔から産し,鶏冠石が変質したものとみられている。
151雌黄・藤黄シオウ
古く雄黄ユウオウの対。藤黄は,ビルマ,タイなどに産するオトギ
リソウ科の常緑高木から採るゴム状の黄色樹脂から作った黄色
顔料や絵の具の色。毒性がある。ガンボージ。草雌黄。▽黄。
漢名の藤黄を「しおう」とも読む。古くは,雄黄と同じ砒素の
硫化鉱物で,砒素の少ないものを言ったと考えられている。赤
味の弱い黄。
152砥粉色トノコイロ
砥粉の色。▽くすんだ赤味の黄。砥粉は,砥石を切り出す際に
生じた砥石の粉。黄土を焼いて粉にしたものをいう。刀剣を磨
いたり,板,柱などの色づけに用いたりする。俳優などが顔の
皺シワを延ばすため,厚化粧の下塗りにも用いる。
153ベージュ
漂白したり染色したりしていない,自然のままの羊毛の色をい
う。「ベージ」とも。▽明るい灰黄。
154生成キナリ
自然のままで,染めたり晒したりしない糸や生地の色。▽黄味
の白。ごく新しい色名であるが,無加工,自然志向の風潮に乗
って一般化した。JIS慣用色名では,黄味の白と特定して,白の
範疇ハンチュウに入れている。
155黄土色オウドイロ/イエローオーカー
黄土に似た赤味を帯びた黄色。黄土(オーカー,オークル)は,
赤土から採った粉末状の酸化鉄で普通,粘土に混ぜて顔料や塗
料に用いる。▽くすんだ赤味の黄。一般的にいう「黄土」は,
石英,長石,雲母などを含む細砂,粘土から成る黄褐色の土で,
砂漠などから風によって半乾燥地に運ばれ,堆積したもの。中
国山西省のものに代表される。
156カーキ
カーキは,元ヒンディー語で「泥土色」の意。軍服によく用い
られる。「カーキー」とも。▽暗い黄味の赤。
157国防色コクボウショク
元モト,陸軍軍服の色だったことから,カーキ色,また,カーキ
色に類する色。▽暗い黄。
158鳥の子色トリノコイロ
鶏卵の殻の色。「鳥の子」は鳥の卵のこと。特に鶏の卵をいう
ところから。▽黄味の白。
159薄卵色ウスタマゴイロ
卵色の薄いもの。▽ごく薄い黄。
160卵色・玉子色タマゴイロ
鶏卵の黄身キミの色。▽薄い赤味の黄。
161ブロンド
金髪のような色。▽くすんだ黄。
162レグホーン
レグホーンのような色。「レグホン」とも。▽くすんだ黄。レ
グホーンは,鶏の一品種。代表的な卵用種。羽色及び冠形によ
って白色・褐色・黒色レグホーンなどに分けられ,特に白色レ
グホーンが各国で飼われている。原産種イタリアのリボルノの
英語名レグホーンによる名。
163クリーム
菓子などを作るのに用いるクリームのような色。▽薄い赤味の
黄。クリームは,牛乳から採った白色の生クリームをいうこと
もあるが,「クリーム色」は,牛乳,小麦粉,砂糖などを混ぜ
て作ったカスタードクリームの色を指す。
164山吹色ヤマブキイロ
山吹の花のような色。▽赤味の黄。ヤマブキは,バラ科の落葉
低木。高さ1〜2mで,春,径4p位の黄金色の五弁花を開く。
165鬱金ウコン
鬱金の根茎で染めた鮮やかな濃黄色。鬱金媒剤によって山吹色。
黄丹にもなる。▽黄。ウコンはショウガ科の多年草。黄色の大
きな根茎があり,バショウに似た,長さ40pほどの長楕円形の
葉がでる。
166梔子・支子クチナシ
梔子の実で染めた濃い黄色。また一般にやや赤味を帯びた濃い
黄色。▽くすんだ黄。クチナシは,アカネ科の常緑低木。「不
言色(言わぬ色)」とも。「九重にあらで八重咲く山吹のいは
ぬ色をば知る人もなし(円融院/新古今集)」などは,「言わ
ぬ」を「口無」にかけて,くちなし色をしめしたもの。
167浅梔子・浅支子アサクチナシ
梔子色に紅を上染めした色の薄いもの。▽薄い黄。
168黄金色・金色コガネイロ
黄金のように,黄色に光る色。▽黄。
169練色ネリイロ
生絹を練って,膠質(セリシン)を除いてしなやかにした糸や
織物のような色。練糸や練絹のような色。▽黄味の白。
170黄キ
黄金,山吹の花,卵の黄身などのような色。減法混色における
三原色(マゼンダ・シアン・黄)の一つ。基本色の一つ。▽鮮
やかな黄。上代,色名としての「黄」は「赤」の範疇ハンチュウにあ
った。「万葉集」にみえる「もみぢ」の多くに「黄葉」が当て
られているが,必ずしも黄色を指すものではなく,赤から黄を
含む広い色合いを指したものと考えられている。
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