31c 《色いろいろ》
91納戸茶ナンドチャ・御納戸茶オナンドチャ
緑色を帯びた鮮やかな染色で,青と緑の中間の色。▽暗い灰青
緑。
92芝翫茶シカンチャ
江戸時代,大坂の歌舞伎役者三世中村歌右衛門(俳名芝翫1778
〜1838)が好んで用いた茶色。後,広く女性の間に流行した。
▽くすんだ赤味の黄。
93璃寛茶リカンチャ
江戸時代,大坂の歌舞伎役者二世嵐吉三郎(俳名璃寛1769〜
1821)が好んで用いた茶色。文化から天保(1804〜44)の頃広
く女性の間に流行した。▽暗い灰黄。
94団十郎茶ダンジュウロウチャ
歌舞伎俳優市川団十郎家伝来の「暫」の狂言に,柿色の素袍を
用いたのが,五代目団十郎(1741〜1806)の人気に乗じ,この
色が流行したところから。▽くすんだ黄赤。
95路考茶ロコウチャ
江戸時代,歌舞伎役者二世瀬川菊之丞(俳名路考1741〜73)が,
明和3年(1766),八百屋お七の狂言で,下女お杉の役で着た
衣装の染色から流行した色。▽暗い赤味の黄。
96仙斎茶・千歳茶センサイチャ・センザイチャ
縹ハナダ色に下染めし,更に茶に染めた色。▽暗い緑味の灰色。
「仙斎」は人名など固有の語ではなく当て字。元は「千歳茶」
か。
97褐色カッショク
やや黒味を帯びた茶色。▽暗い黄赤。褐カチ・カチンか読むときは,
多く「搗」の借字で,別の色。
98茶褐色チャカッショク
茶色っぽい褐色。▽暗い黄赤。
99赤褐色セッカッショク
赤味を帯びた褐色。▽暗い黄赤。
100蒲色・樺色カバイロ
蒲ガマの穂,又は樺カバの樹皮のような色。▽濃い黄赤。「かば
」は蒲の異名・「樺」は広く樹皮のことも言ったが,色名はウ
ワミズザクラなど樺桜カバザクラの樹皮の色による。
101肉桂色ニッケイイロ
肉桂の樹皮のような色。▽くすんだ黄赤。
102チョコレート色
チョコレートのような色。▽暗い灰黄赤。
103ココア色
ココアのような色。ココアは,カカオの実を煎り,皮を取って
粉にしたもの。▽暗い黄赤。
104コーヒー色
コーヒーのような色。▽暗い黄赤。
105柿色カキイロ
柿の実の色。また,柿の渋の色に似た赤茶色や,弁柄ベンガラに
少し黒を入れた色もいうことがある。▽黄赤。
106薄柿色ウスガキイロ
柿色の薄いもの。▽薄い赤。
107洗柿アライガキ/晒柿シャレガキ
薄い柿色。また,柿渋で染めた薄い渋色。▽薄い赤。
108黒柿クロガキ
黒味の柿色。▽暗い灰赤。
109渋紙色シブガミイロ
渋紙のような色。▽くすんだ黄赤。渋紙は,紙を張り合わせ,
柿渋を塗って乾かしたもの。
110梅染ウメゾメ
梅谷渋ウメヤシブで染めたもの。浅く染めたものを赤梅,深く染め
たものを黒梅という。▽くすんだ黄赤。梅谷渋は,紅梅の根を
切り,濃く煎じ出した染め汁。
111栗梅クリウメ
濃い栗色で,紫がかったものをいう。▽暗い黄赤。
112栗色クリイロ
栗の実の皮のような色。▽暗い黄赤。
113胡桃色クルミイロ
胡桃の樹皮を煎じて採った染料で染めた色。▽くすんだ黄赤。
114柑子色コウジイロ・カンジイロ
柑子の果実のような色。▽明るい黄赤。柑子カンジの変化した語
であるが,かんじ色は黒味を帯びた黄色を言った。コウジは,
ミカン科の落葉小高木。
115紅柑子ベニコウジ
紅柑子の果実のような,紅色を帯びている柑子色。▽くすんだ
黄味の赤。
116人参色ニンジンイロ
人参の根のような色。▽黄赤。ニンジンはセリ科の二年草。
117黄赤キアカ
黄色がかった赤。基本色の一つ。▽鮮やかな黄赤。
118橙色ダイダイイロ/オレンジ色
橙の果皮のような色。また,オレンジの果皮のような色。▽橙,
オレンジともミカン科の常緑小高木。
119橙黄色トウコウショク・トウオウショク
熟した橙の実のように赤味を帯びた黄色。▽赤味の黄。
120蜜柑色ミカンイロ
蜜柑の果皮のような色。▽黄赤。蜜柑はミカン科の常緑小高木。
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