23a 《現代水墨画》
2 竹タケの描法
竹の種類による描法の違い,四季の変化,天候による表現の仕方
などを学んでいきます。
@雌竹
雌竹メダケは雄竹オダケ(真竹マダケ)に比べて幹が細く,節間が長
く,莢サヤもついています。一つの節から数本の枝を出し,長い葉
をつけるのが特徴です。
A遠見の竹林
遠見の竹林は,淡墨をつけた直筆で幹を描き,隣り合った節の
位置が互い違いになるように描きましょう。
上方の節からそれぞれ枝が出,枝は中墨で細く跳ね上げるよう
に描きます。
濃墨で節を入れ,淡墨で奧の葉,濃墨で手前の葉を个字法と介
字法の組み合わせで描きます。
B雨竹
雨竹では,向こうの竹と手前の竹の色に濃淡をつけます。葉は
魚尾法と个字法の組み合わせで,雨露を含んで垂れ下がっている
ように描きます。葉の茂りを強めるために,枝はほんの少し葉の
隙間から覗いているように描きましょう。
C夏の終わりの雨の竹林は,一本一本の竹の異なった表情を描き
ます。幹も葉も墨の濃淡で遠近感を表現して描いて下さい。。
D雪の葉
雪の積もった竹の葉は,紙の白さを雪に見せたり,雪から飛び
出して見える葉だけを描いて下さい。幹は部分だけを描き,枝は
一切描きません。
3 菊キクの描法
菊は曲線と直線の組み合わせによる運筆法として,水墨画の基本
となる筆使いです。菊は,花と葉と茎からなっています。
@花房の描き方
菊の花弁は,自然に丸く球状に盛り上がっています。
花芯は濃墨の直筆で点描し,中墨の側筆で暈ボカします。
花弁の先が密着して尖らないようにゆったり収まるように,花
弁の数は適当に省略して,大小,長短の変化をつけましょう。
A葉の描き方
菊の葉は五岐ギ四欠ケツといって,五つに岐ワカれ四つの切れ込み
があるのが特徴です。表葉は濃墨,裏葉は淡墨で変化をつけ,じ
ぐざぐ描きで描きます。正面向きの葉にも濃淡をつけますと立体
感が出せます。最後に濃墨で葉脈を入れて下さい。
Bその他の描き方
花房と葉を描いた後は,蕾や折り返った葉,茎などを描きます。
小葉コバ(護葉)や葉脈を入れますと完成です。
Cその他の参考
下葉を大きく描きますと,画面全体に安定感がでます。
菊の茎は頑丈ですので,筆に勢いをつけて描いて下さい。
大輪菊には厚物アツモノ,管物クダモノ,広物ヒロモノがあり,真っ直ぐに
伸びた茎に鱗状の花弁が球状についています。花弁の中心は中央
に向かって重なり合い,外側の花弁は開いています。一枚一枚の
花弁は小さく,ふくよかに描いて下さい。花の大きさと,茎の太
さのバランスも考えて描いて下さい。
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