03 日本画への第一歩
《日本画の知識》06.09.23
〈基礎的作業〉
△膠ニカワの溶き方
膠は日本画では絵の具,泥,箔などを画面に定着させたり,紙,
絹などの滲みニジミを止めるドーサとして使われる。
用意するもの:三千本膠,水,膠鍋(又は土鍋),水匙スイジ,綿布
(ガーゼ)
@三千本膠は硬いのでペンチなどで2〜3pに細かく切る。なお,
水に浸して一晩冷蔵庫に入れておくと軟らかくなるので,その
後の処理がしやすい。
A細かく切った膠1本分と水100tを膠鍋に入れる。
B炭火など火力を柔らかくして,膠が溶けるまで煮る。
C焦げ付いたり,沸騰しないよう,水匙でよくかき混ぜる。
D塊がなくなるまで煮,弱火にしていく。
E溶けた膠には不純物が入っているので,ガーゼを敷いた大きめの
ボールに移し替える。
F溶けた膠は少しずつ移し替える。
Gガーゼの端を持ち上げ,丸めるようにし,自然に落ちるように濾
す。
Hガーゼを絞り過ぎると,不純物も出てしまう。
I膠鍋をきれいに洗って,ボールの膠液を膠鍋に移し替える。
△ドーサ(礬水ハンスイ)のつくり方
ドーサとは,和紙や絹が滲ニジまないようにするためにする滲み
止めのこと,墨絵など滲みを利用して描く場合を除き,日本画
などはすべて滲み止めをしてから描く。ドーサの濃度は,夏は
濃い目,冬は薄目にする。また原料の明礬ミョウバンを入れすぎる
と,引いたあと,キラキラ光りすぎてよくありません。
@布で濾した膠液(三千本膠2/3分),水200t,ドーサ刷毛,明礬
(硫酸アルミニュウムカリウム)3g,ボールを用意する。
Aボールに水を入れて,電熱器などでぬるま湯にする。
Bぬるま湯に膠液を入れて,よくかき混ぜる。
C次に明礬を入れる。
D箸などでゆっくりかき混ぜて出来上がり
△ドーサの引き方
普通,紙は比較的厚手の麻紙とし,毛氈又はよく吸い取る紙の上
に置き,ドーサ刷毛を用いて力を入れないように丁寧テイネイに,
むらなく塗る。小品用の薄手の紙は,ドーサをやや薄目に,表
裏1回ずつで十分である。
@ドーサ刷毛に,ドーサ液をたっぷり含ませる。
Aたっぷり含ませた刷毛をボールの縁で軽くしごく。
B始めは表面に引く,左上から右へ,刷毛のかすれや液の溜まりの
できないよう,一定方向に一定速度でゆっくりと均等に塗る。
Cドーサ液のしみ混みが弱くなってきたら刷毛を止める。かすれた
りすると,その部分に描いた絵はきしみがでたりする。
Dそして,前記の継ぎ目に少し重ねるようにして,続けて塗ってい
く。
E二段目以降も,上の部分は少し重ねるようにして塗る。
F表面のドーサ引きが終わったら,日陰の風通しの良いところが半
日,完全に乾かす。
G完全に乾いたら,裏面に引く。裏面はやや速度を速めて塗る。
H表面にしみが出たときは,乾いてから表面に薄目のドーサをもう
一度引く。
△水張りの仕方
用意するもの:仮り張り又はベニヤ板のパネル,ドーサ引きの和紙
(雲肌麻紙),刷毛(水刷毛,糊刷毛,空刷毛),大和糊,皿
@市販の大和糊を皿にとり,水を少し加えて薄めておく。
A水刷毛に水を含ませる。
B仮り張りに紙を裏にしておき,水刷毛で均等に水を引く。
C刷毛は縦,横に使う。
D水を引くと2〜3分で紙は伸びてくるので,糊刷毛で,同じ裏面
の縁の1〜1.5p幅に糊をつける。
E糊刷毛の厚さを活用して,糊を付ける幅は均一になるようにする。
Fここで,あとで紙を剥がすとき容易にするため,1p幅の紙帯を
挟んでおく。
G糊をつけ終えたら,表面が上になるようにひっくり返し,空刷毛
を用いて,中心部から外側に刷毛を動かして中の空気を出す。
H糊しろの部分は,剥がれないように空刷毛の先で強く押す。
Iこの方法は,周囲のみに糊をつけるので,「袋張りフクロバリ」とも
いう。
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