38b 文様のいろいろ〈様式〉
 
△縄文ジョウモン
 粘土の上に縒紐ヨリヒモを押し付けて作った文様です。狭義には手法的に回転縄文を指し、
文様としては斜行縄文が一般的で、左右の斜行文を組み合わせた羽状縄文の他、多軸縒
り糸文、木目状縒り糸文などがあります。
 この手法は縄文式土器だけではなく、弥生式土器にも伝承され、縒紐の組み合わせに
よって、各種の文様が作られています。
 
△鋸歯文キョシモン
 鋸の歯のように連続する三角形の文様で、弥生時代から古墳時代に盛んに行われ、土
器、銅鐸、鏡、古墳の壁画などに見られます。
 
△直弧文チョッコモン
 古墳時代の文様の一つで、直線と弧線を組み合わせたわが国独自の文様です。古墳前・
中期に盛行し、貝輪・鏡を始め、石棺・石枕・刀剣の柄・石室壁面などの文様に用いられま
した。
 
△水玉ミズタマ
 水玉のような小さい円形を一面に散らした文様です。
 
△鶉斑ウズラフ
 ウズラ(鶉)の羽色のように、茶色の黒白の斑マダラのある文様です。陶器では、黒い
釉薬ウワグスリの表面に、ウズラの羽色に似た斑文様の表れたものを云います。
 ウズラの羽毛のような文様を、織物などの地一面に細かく染め出したものを「鶉小紋
」と云います。
 
△虎斑トラフ
 トラ(虎)の背中のように黒い太線の斑文の入っている文様で、「虎毛トラゲ」とも云
います。
 
△豹文ヒョウモン
 ヒョウ(豹)の毛皮の斑文のような文様です。
 なお、「豹文」は「平文」に通じるとも云われます。
 
△又木形マタギガタ
 唐花丸の文様を直線で表現した有職文様です。
 
△朽木形クチキガタ
 木が腐食して、木目モクメが残ったり浮き上がったりしている状態を図案化して文様で、
普通白地に表現し、几帳や壁代カベシロなどに広く用います。
 
△墨流しスミナガシ
 墨汁又は顔料で水面に渦巻状の文様を作り、それを紙や布に吸い取り移して染めた文
様で、謀らざる形や色の濃淡が生じて美しい。墨流し染めとも。
 
△州流・洲流スナガシ・スナガレ
 砂浜に波が刻んだ波状の模様や、水の流れを連想させる文様で、「墨流し」に似てい
るために「墨流」と書くこともあります。
 
△文字モジ
 文字を配する文様です。「喜」「寿」「福」「鶴亀」「松竹梅」など縁起の良い文字
や縁ユカリの文字、又は歌などを散らした文様が多い。
 
@斧琴菊ヨキコトキク
 斧ヨキと琴とキク(菊)の花の文様を染め出し、「良き事(を)聞く」の意を表す文様
 です。
A鎌輪奴カマワヌ
 鎌の絵に丸い輪と「ぬ」の文字を配した衣服の文様で、「構わぬ」と読ませる洒落で
 す。江戸時代に町奴の間で流行しました。
B葦手アシデ
 平安時代に行われた書体の一つである葦手(葦手書とも)を採り入れた文様です。葦
 手は、葦、水流、鳥、石など水辺の光景の中に、文字を絵画化し、歌などを散らし書
 きにして書き混ぜたもので、主に葦の群生した様に模したものについて云いますが、
 水流の様に模した水手ミズテなどを含めても云います。葦手を下絵として描いた料紙も
 葦手と呼びました。その下絵は次第に文様化し、葦手絵と呼ばれ、蒔絵マキエや服飾など
 に用いられるようになりました。
 
△辻が花ツジガハナ
 帷子カタビラ(麻の単衣)の染文様で、白地に藍や紅で一面に葉と花を染めたもので、縫
絞りと呼ばれる絞り染めを基本とし、針目を密にして文様を象カタドります。その名称や
実際については不祥な点が多い。
 
△蛮絵・盤絵バンエ
 鳥獣、草花などの形を丸く表現した文様で、主として公家の召具メシグ(随身)の袍ホウ
に用いました。また舞楽の袍又は調度にも用います。
 
△源氏模様ゲンジモヨウ
 源氏香の図を幾つか取り出して文様としたものです。源氏香とは組香の一つで、源氏
香の図とは、源氏香の聞き当たりを図にしたものです。
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