37 文様のいろいろ〈幾何〉
△菱ヒシ
ヒシ(菱)の実のような形の文様です。単一の「菱形」とその連続文様「繁菱シゲヒシ」
又は「小菱」が基本で、菱を四つ組み合わせた菱形及びその連続文様が多く見られます。
菱は普通横長のものを云い、縦長の菱文を「立菱タテビシ」として区別します。
なお四つ菱は、甲斐の武田氏の家紋として知られるので「武田菱」と呼ばれますが、
四つの小菱に分割した形状から「割菱」「四つ割菱」とも云います。
@入子菱イレコビシ
菱形を入れ子形にした文様のことで、また菱襷ヒシタスキの中に菱を入れた入れ子三重襷も
あります。
A菱繋ヒシツナギ
菱形を繋いだ文様です。
B遠菱トオビシ
間を隔てて置いた菱形の文様です。
C俵菱タワラビシ
楕円形に一つ引きを四個組み合わせた文様で、近衛家流の使用する繁文シゲモンに付ける
縫文ヌイモンもあります。
D花菱ハナビシ/幸菱サイワイビシ
菱形の中に四弁の唐花を配し、四辺に四角の切り込みを入れた文様です。また、それ
を組み合わせたものを云い、「幸菱」とも呼びます。なお、花菱を菱形に象カタドった
文様もあり、「菱椿」「菱牡丹」などと云います。唐花については「唐花菱」とも「
唐菱」とも云います。
E松皮菱マツカワビシ
菱形の上下に、更に小さな菱形を重ねた形の文様です。またその連続模様を云い、そ
れに花をはめ込んだ「花松皮菱」もあります。松皮とも。
F分銅菱フンドウビシ
波状の四本線で分銅形の四角に囲んだ形の、連続する文様です。
△麻の葉アサノハ
六角形に六個の菱形を結び付けた文様で、主としてその連続文様を指して云い、特に
「麻の葉繋ぎ」と呼ぶこともあります。
変形種に「松川麻の葉」「輪違い麻の葉」「麻の葉崩し」「崩れ麻の葉」などがあり
ます。
△鱗形ウロコガタ
三角形を幾つもその頂点を合うように組み合わせて、配列した文様です。三角形一つ
のが「一つ鱗」で、紋所にはその他「二つ鱗」「三つ鱗」などがあります。
△亀甲キッコウ/亀の甲カメノコウ
カメ(亀)の甲にような六角形の文様のことです。単独のものが「亀甲形」で、普通
その連続文様を「亀甲」と云い、特に「亀甲繋ぎ」とも呼びます。
亀甲形の中に花や卍、巴、七曜などを配したものも多く、また変形したものや花弁を
六角形に図案化した「亀甲花文」など様々な亀甲文があります。
@毘沙門亀甲ビシャモンキッコウ
亀甲を三つテトラ形に連ねて連続させた文様を総称して云います。毘沙門天が着用し
ている鎖鎧クサリヨロイの鎖の表現が、それに似ているところから呼びます。
紋所では「三つ盛亀甲」と云います。
△網目アミメ
網の糸と糸に囲まれた部分、また、そのような形が連結して網のような状態になって
いる文様のことです。網の目とも。
△網代アジロ
桧皮ヒハダで組んだ形を総称し、縦・横・斜めなど、組み方によって様々の文様がありま
す。その形状の類似から「籠目カゴメ」とも云い、また桧皮で組んだ垣の様から「桧垣
ヒガキ」とも呼びます。
△井桁イゲタ/井筒イヅツ
井桁の形、即ち「井」の字形に組み合わせた文様です。井筒とも云い、特に正方形の
ものは井筒と呼ばれる。
紋所では江戸時代、彦根藩主井伊家の定紋として知られます。
△石畳イシダタミ/市松イチマツ
白色と黒色など、二種類の色の方形を上下左右が互い違いになるように並べた、碁盤
目の文様です。
有職では「霰アラレ」と呼び慣わされているが、特にこの形の小紋を「霰」又は「小石畳
」として区別することがあります。
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