36 文様のいろいろブック〈器物建造物など〉
 
△扇オウギ
 扇を型取った文様のことです。扇は広げたその形から「末広スエヒロ」とも云い、発展や
拡大を意味して縁起のよいものとされ、広げた扇のほか、束ね扇、扇面だけの文様など
が見られます。
 扇は材質によって、桧ヒノキ、杉スギなどの5〜9枚の薄板を根元の要カナメで綴じ合わせる
板扇の類と、竹、鉄などの数本の骨に紙、絹布などを張った紙扇子、蝙蝠カワホリの類とに
分けられます。機能的にはあおいで涼をとるものと、祭事、祝儀用のものとに分けられ
ます。
 これらの扇は、平安前期の日本で創案されたものと考えられますが、その後種々の工
夫が凝らされました。
 
△熨斗・熨ノシ
 熨斗鮑ノシアワビの形を表した文様です。その形によって、「束ね熨斗」「暴れ熨斗」な
どの文様があります。
 熨斗鮑は、アワビの肉を薄く長く剥ぎ、引き延ばして乾かしたもので、古くは食料に
用い、後には儀式の肴サカナとし、また進物などに添えて贈るものとなりました。
 
△轡形クツワガタ
 馬の轡を型取った文様で、「轡唐草」「轡格子」などがあります。
 紋所としては、十文字轡、角轡など十字形のものが多い。
 
△剣ケン・ツルギ
 剣の形に図案化した文様で、剣形ケンガタとも云います。また、剣先を組み合わせた「剣
先文」があります。
 剣ケンは、元々は諸刃モロハの刺突用武器を云い,文様では諸刃の古い形の剣ツルギが多く用
いられています。
 
△矢筈ヤハズ
 矢筈のような形の文様のことです。特に矢羽の形や模様の面白さを採り入れた矢羽文
があり、「矢絣ヤガスリ」はその連続文様と見たてたものです。
 
△御所車ゴショグルマ・源氏車ゲンジグルマ
 牛車ギッシャの車輪を図案化した文様です。輻ヤの数は6本、7本、8本、12本などのも
のがあります。轅ナガエとともに牛車の形を図案化したものを「小車オグルマ」と云います。
 牛車は、中古から中世にかけて、牛が引いた貴人の乗用車のことです。
 応仁の乱以後、禁中の大儀などだけに用いられるようになったところから御所車と呼
びます。また源氏絵に多くみられるところから、源氏車とも云います。
 
@片輪車カタワグルマ
 車の輪が半分に沈んで流れる様を図案化した文様のことです。
 
△楫カジ
 舟を漕ぐのに用いる櫓ロや櫂カイをあしらった文様のことです。
 古くは、操舵ソウダ用の「かじ」ばかりでなく,櫓をも「かじ」と呼びました。
 
△碇・錨イカリ
 碇を図案化した文様です。
 
△水車ミズグルマ/槌車ツチグルマ
 水車を図案化した文様で、特に車文の輻ヤの延長上に槌をつけた「槌車ツチグルマ」を水車
と呼ぶことが多い。
 
△風車カザグルマ
 風車を図案化した文様です。槌車ツチグルマにおける槌の部分に方形を配した八本輻ヤの風
車などがあります。
 
△チキリ・千切チキリ
 織機の部品であるチキリを図案化した文様のことです。両端を方形に型取り、十字に
重ねた四方チキリがあります。
 チキリは、中央が細くI字形にくびれた棒状のもので、経タテイトを巻き取るのに用いる
ものです。鼓の胴にも似ていますので、「輪鼓リュウゴ」とも云います。
 
△鼓ツヅミ
 鼓に型取った文様です。
 鼓は、円筒状で中空の胴に皮を張って鳴らす打楽器の総称のことで、調べの緒を皮の
ぐるりに通し胴で縢カガり締め、左手でこの緒を締めたり緩めたりたりして調子を執り、
右手で打ち鳴らします。太鼓、小鼓の2種があり、普通鼓といえば小鼓を指します。
 
△羽子板ハゴイタ
 羽子板を図案化した文様のことです。
 羽子板は、室町時代頃から行われた正月の遊びの道具です。羽子(ムクロジの核に穴
を開け、鳥の小羽根を数枚差し込んだもの)を突くのに用いる、長方形で柄の付いた板
です。杉や桐などで作り、表には絵を描いたり押絵を張ったりします。
[次へ進んで下さい]