35a 文様のいろいろ〈動物〉
 
△蟹カニ
 カニ(蟹)を図案化した文様です。
 ボタン(牡丹)の葉でカニの脚及び鋏を型取ったものとその花を並べた文様を、「蟹
牡丹カニボタン」と呼びます。また,子どもの祝着などに付ける、松、竹、梅、鶴、蟹など
の文様は、「蟹鳥紋カニトリモン」と云います。
 
△鯉コイ
 コイ(鯉)を図案化した文様です。
 特に、鯉の滝登りの「昇鯉文」は、黄河の急流にある竜門と云う滝を登ろうと、多く
の魚が試みましたが、僅かなものだけが登り、竜に化すことが出来たと云う「後漢書-党
錮伝・李膺」の立身出世の故事によります。
 コイの鱗ウロコは丸い形で、その数が測線上で36枚前後あることから、六六魚リクリクギョと
も呼びます。
 
△魚文・魚紋ギョモン
 魚の形の文様のことで、また、魚が泳いでできる波紋を云うこともあります。魚形文
とも云います。
 
△貝カイ
 カイ(貝)を図案化した文様です。
 単独で用いられたり、色々な種類を散りばめて「貝尽くし」にしたり、「海賦カイブ文
」として海浜風景の一部に用いられたりします。
 ハマグリ(蛤)、ホタテガイ(帆立貝)、ホラガイ(法螺貝)などが比較的多く使わ
れ、ハマグリと蝶を取り合わせたものを「蛤蝶ハマグリチョウ」と云います。
 
△亀カメ
 カメ(亀)を図案化した文様のことです。
 「亀は万年の齢を経,鶴も千代をや重ぬらん」(謡曲鶴亀)と云われているように、
亀は鶴と並んで長寿であるとされていることから、古来、動物の吉祥文様の代表的なも
のです。
 霊獣の一つとして描かれた「霊亀」や,年老いて緑苔が生じた姿を描く「蓑亀ミノカメ」
があります。また、亀と蛇を合わせたような「玄武ゲンブ」が別にあります。中国の神仙
思想で、不老不死の仙人が住むという蓬莱山ホウライサンを型取った「蓬莱山文」には、松竹
梅、鶴などと一緒に亀が描かれます。
 
△獅子シシ
 ライオンをもとにした想像上の動物を図案化した文様のことです。
 かつては、外国渡来の作品を基に、想像して文様化するしかなかったと思われ、極度
に様式化され、イノシシ(猪)やシシ(鹿)と区別してカラジシ(唐獅子)と呼ばれま
す。
 文様としては、丸の中に獅子を収める「獅子の丸」や、2頭の獅子が丸の中に向かい
合う「獅子丸」があります。また、百獣の王と云われる獅子と、中国の花の王といわれ
たボタン(牡丹)とを取り合わせた「獅子に牡丹」「牡丹獅子文」は豪華の極みを表し
ています。
 
△麒麟キリン
 想像上の動物の麒麟を図案化した文様のことです。
 麒麟は霊獣の一つで、古代中国で、聖人が出現して良い政治が行われるときに,その
徴シルシとしてこの世に現れるとされる想像上の動物です。体は鹿、蹄ヒヅメは馬、尾は牛、
額は狼オオカミで角が1本、全身は黄色、腹部は5色で、生物や生草を害さないと云います。
 一説に雄が「麒」で,雌が「麟」とします。
 
△竜リュウ
 想像上の動物の竜を図案化した文様です。雲・雨などと一緒に描かれることが多い。
 竜は霊獣の一つで、体が大蛇に似ていて、背に81枚の鱗ウロコ、四足に各5本の指、頭に
は2本の角があり、顔は長く耳があり、口辺に長い髭ヒゲを持ちます。水中又は地中に棲
み、ときに空中を飛行し、雲や雨を起こし、稲妻を放つと云われます。
 
@雲竜ウンリュウ・ウンリョウ
 雲に乗って昇天する竜を描いた文様のことです。
 
△雨竜アマリョウ・ウリョウ
 雨竜を図案化した文様です。
 雨竜は、雨を起こすといわれる想像上の動物で、竜の一種ですが、角がなくトカゲに
似るとされます。文様としては、雲に型取って極度に図案化したものが見られます。
 
△鳳凰ホウオウ
 想像上の鳥の鳳凰を図案化した文様です。
 桐、竹などと一緒に描かれ、「桐竹鳳凰」のほか「鳳凰の丸」「桐に鳳凰」などがあ
ります。
 鳳凰は、嘴クチバシは鶏首、頭は蛇に似たものが多く、羽に五色の紋があり、尾は忍冬唐
草などの特徴があります。梧桐に宿り、竹の実を食し、醴泉レイセン(甘い水の泉)の水を
飲んで、聖天子出生の瑞兆として出現すると伝えられました。雄を鳳、雌を凰と分けて
称することがあります。
 
@桐竹鳳凰キリタケホウオウ
 桐の薹トウに竹と鳳凰を配した文様のことです。
 吉瑞を示す文様で、鎌倉の頃から麒麟キリンを加えて筥形ハコガタに配して桐竹鳳麟ホウリンと
も呼びます。
 
◎浮先綾フセンリョウ
 文様を浮き織りにした綾織物をいう語ですが、後に浮線蝶の丸(臥蝶の丸)のような
円形の大型の有職文様を特定して云うようになりました。
◎迦陵頻伽カリョウビンガ
 極楽浄土にいると云われる想像上の鳥で、顔は美女のようで、声が非常に美しいとこ
ろから、仏の声を形容するのに用いられます。スズメ(雀),シギ(鴫)などに類する
鳥と云われ、インドのブルブルと云う鳥とも云われます。伽鳥、頻伽(迦)、迦陵頻、
迦陵頻伽羅鳥カリョウビンガラチョウなどとも云います。

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