23b 茶の湯と抹茶茶碗の歴史
 
〈4 大名茶の湯と宮廷茶の湯時代/大名・宮廷の茶室と茶碗〉
 
 大名が抹茶茶碗を始めとする茶道具を注文するようになったのは,天下が平定されて
からです。
 古田織部(1544〜1615)は大名として,水指,茶碗や会席用の食器まで好みのものを
焼かせました。その後小堀遠州(1579〜1647)は,好みのものを国内は勿論,中国の景
徳鎮の窯や朝鮮の高麗茶碗などにも注文していました。
 一方,徳川幕府になってから,天皇・公卿・禅寺の住職が好みの物を注文するように
なり,王朝時代から受け継いできた宮廷好みのものを仁和寺の仁清窯に焼かせ,陶磁器
や漆器などに新しい境地を開拓しました。
 
 唐津茶碗 銘三宝サンボウ(是閑ゼカン)重要文化財江戸初期 径15.8p 和泉市久保惣記
                                念美術館
 唐津茶碗     銘真蔵院シンゾウイン   江戸初期   径13.0p
 瀬戸唐津茶碗             江戸初期   径13.6p 藤田美術館
 絵唐津茶碗              江戸初期   径12.2p 田中丸コレクション
 彫唐津茶碗              江戸初期   径14.1p
 
 御所丸ゴショマル茶碗 銘夕陽  重要文化財江戸後期   径13.1p 藤田美術館
 織部オリベ筒茶碗            江戸初期   径10.7p
 黒織部茶碗    銘松風       江戸初期   径15.7p
 赤織部茶碗    銘山路ヤマジ     江戸初期   径13.0p
 志野茶碗     銘朝陽       江戸初期   径14.5p 藤田美術館
 
 鼠志野ネズシノ茶碗  銘峰紅葉ミネモミジ   江戸初期   径14.0p 五島美術館
 練上げ志野茶碗  銘猛虎       江戸初期   径13.5p
 青井戸茶碗    銘柴田    重要文化財李朝後期 径14.3p 根津美術館
 蕎麦ソバ茶碗    銘残月(河村)   李朝後期   径17.0p
 堅手カタデ茶碗   銘長崎    重要文化財李朝後期 径14.7p 根津美術館
 
 柿の蔕ヘタ茶碗   銘大津       李朝後期   径13.7p 藤田美術館
 金海茶碗     銘藤浪       李朝後期   径14.3p
 彫三島ホリミシマ茶碗            李朝後期   径14.8p 畠山記念館
 千種チグサ伊羅保イラボ茶碗         李朝後期   径14.3p
 伊羅保片身替り茶碗          李朝後期   径14.5p 藤田美術館
 
 御本ゴホン立鶴タチヅル茶碗  銘池水チスイ   李朝後期   径11.6p
 絵御本エゴホン茶碗            李朝後期   径13.4p 藤田美術館
 安南絞り手茶碗            黎王朝    径 9.5p 根津美術館
 絵高麗エゴウライ茶碗           明      径15.5p
 赤絵鉢の子茶碗            明      径12.7p
 
 古染付笠文茶碗            明末期    径13.0p
 呉須山水茶碗             明末期    径13.9p 畠山記念館
 祥瑞ションズイ水玉茶碗          明末期    径 9.2p 根津美術館
 萩茶碗      銘白雨       江戸前期   径15.2p
 萩茶碗      銘みよしの     江戸前期   径13.8p
 
 萩茶碗(紅萩)            江戸中期   径11.8p
 萩筆洗茶碗              江戸中期   径12.5p 藤田美術館
 上野アガノ茶碗 銘百千鳥モモチドリ     江戸前期   径14.4p
 高取茶碗               江戸前期   径12.9p 大和文華館
 丹波茶碗     銘橋立       江戸前期   径12.5p
 
 高取茶碗               江戸前期   径11.5p
 薩摩茶碗     銘野々宮      江戸前期   径10.5p
 信楽筆洗ヒツセン茶碗 銘花橘ハナタチバナ    江戸前期   径14.2p
 備前沓ビゼンクツ茶碗 銘只今タダイマ     江戸前期   径15.1p 後楽園
 伯庵茶碗     銘土岐トキ      江戸前期   径14.4p 藤田美術館
 
 膳所ゼゼ茶碗             江戸前期   径10.7p
 志戸呂シトロ茶碗             江戸前期   径 9.7p
 仁清ニンセイ色絵鱗波ウロコナミ茶碗       江戸前期   径12.4p
 仁清ニンセイ色絵金銀菱茶碗(金)重要文化財江戸前期   径 9.0p MOA美術館
 陳元びんチンゲンビン御深井オフケ茶碗     江戸前期 径13.1p 東本願寺名古屋別院
 
 古清水三島写し茶碗          江戸前期   径14.0p
 柳原安南写し茶碗           江戸後期   径12.6p
 
〈5 町人茶の湯時代/町人茶の湯と茶碗〉
 
 室町時代の町衆は,江戸時代になって町人と呼ぶようになりました。堺を中心とする
経済体制は崩壊したので,新たに経済体制が整備確立されたのは,元禄の頃でした。
 陶芸家はそれぞれ窯を築いて,独自の作行を試み,注目される作品を生みだしました
が,経済的な基盤は安定していませんでした。
 このように抹茶茶碗を焼いた窯は,政治,経済,文化の発展段階に応じて興亡してき
ました。ひとり陶工や陶芸家の独力によってのみでは,どうにもならなかったのです。
 ようやく幕末に至って,全国に町人と農民を中心とする窯が築かれ,民芸品の始まり
となりました。
 1700年代になって家元制度が確立し,小間の茶室から,習い事で重要な七事式シチジシキ
もできる,八畳のいわゆる広間の茶室へと変わってきました。
 
 光悦赤楽茶碗   銘雪峰セッポウ  重要文化財江戸初期 径11.6p 畠山記念館
 光悦赤楽茶碗   銘乙御前オトゴゼン   江戸初期   径11.8p
 光悦赤楽茶碗   銘加賀光悦  重要文化財江戸初期 径12.9p 萬野美術館
 光悦白釉茶碗   銘不二山   国宝 江戸初期   径11.6p
 光悦黒楽茶碗   銘時雨シグレ     江戸初期   径12.4p 名古屋市
 
 宋慶黒楽茶碗             江戸初期   径10.7p 梅沢記念館
 宋慶黒楽茶碗   銘天狗       江戸初期   径12.0p
 常慶黒楽茶碗   銘炭焼       江戸初期   径12.0p
 道入黒楽茶碗   銘千鳥       江戸初期   径12.5p 藤田美術館
 道入黒楽茶碗   銘あら磯      江戸初期   径12.5p
 
 道入赤楽茶碗   銘虹ニジ       江戸初期   径11.9p
 道入赤楽茶碗   銘巴トモエ (馬盥形) 江戸初期   径14.1p
 朝日茶碗     銘老浪オイナミ     江戸前期   径13.2p
 楽山ラクザン刷毛目茶碗          江戸中期   径16.3p 田部美術館
 初代大樋オオヒ飴釉茶碗 銘臘月庵ロウゲツアン  江戸前期   径12.4p
 
 初代玉水赤楽茶碗 銘竜田       江戸中期   径 9.8p 滴翠美術館
 乾山ケンザン滝山水茶碗          江戸中期   径10.3p
 乾山槍梅ヤリウメ茶碗           江戸中期   径10.3p 梅沢記念館
 木米モクベイ七宝菱文茶碗         江戸後期   径 7.8p
 木米松竹梅茶碗            江戸後期   径10.5p
 
 古曽部コソベ安南写し茶碗        江戸     径10.2p高槻市教育委員会
 木白モクハク赤膚アカハダ奈良絵茶碗      江戸     径11.2p 東京国立博物館
 初代道八ドウハチ唐子カラコ茶碗       江戸中期   径13.0p
 仁阿弥ニンナミ道八暦手コヨミデ茶碗      江戸後期   径11.0p京都市立芸術大学
 保全ホゼン日の出鶴茶碗         江戸後期   径12.2p
 
 和全ワゼン松竹梅茶碗          江戸末期   径11.9p
[次へ進む] [バック]