21g 茶碗字典
 
  [ま]
   真マ ほんで。
   
   斑唐津マダラガラツ 白灰色の釉と飴釉が斑マダラに掛かった唐津。又は
    飴釉がなくて鼠色釉の上に白釉が斑に掛かった唐津。
   
   見込みミコミ 器物の内面の正面をいい,茶碗でいえば,茶碗の内側中
    央の底面をいう。この作風は茶碗鑑賞上大切なこと。
   
   三島ミシマ 名の起源は,暦手といわれる三島に象嵌ゾウガンされた線状
    文と花文が,静岡県三島大社の暦によく似ているからとする通説
    があるが,異説もある。
   
   水指ミズサシ 茶席で用いる蓋つきの水を入れておく器。釜へ水を差し
    たり,茶碗,茶筅を濯ぐススグのに用いる。侘び茶の流行とともに,
    土物としての信楽,備前が採用され,利休の頃は瀬戸へ,織部の
    時代になると瀬戸,美濃,伊賀などへ好みものが注文され,渡来
    品も加わり多彩を極めた。
   
   水挽きミズビキ 京都地方でロクロ上で器物を形成することをいう。
    瀬戸地方ではヌタ挽きという。
   
   向付ムコウヅケ 日本料理で,膳部の向側にぬた,山椒味噌などの簡単
    な料理を盛っておく器,またその食品。略して向ムコウという。
   
   無地刷毛目ムジハケメ 朝鮮茶碗の一手。地や椀一面に白釉が掛かり,
    朝鮮刷毛目と同手であるが,地釉だけで刷毛目のないもの。刷毛
    目の手より一手古いという。
   
   名物メイブツ 茶器のいわゆる名物には三種あり,利休以前のものを大
    名物,利休時代のものを名物,小堀遠州が選定したものを中興名
    物という。近代では名物と中興名物とをともに名物といい,大名
    物と名物との二種に取り扱う風がある。
   
   茗碗メイワン 茶を喫する碗。
   
   目利メキキ 茶の湯においては道具の鑑別を意味するものと,新しい価
    値発見を意味するものとがある。後者は,利休の侘茶道への転換
    期に茶湯者の必須条件とされ,茶の湯定型化,道具の商品化とと
    もに専ら前者の意味に重点が置かれるようになった。
   
   面取メントリ 花瓶,香炉,水差,茶入などの器の側面を曲面にしない
    で,平面にしたものをいう。
   
   木白モクハク 寛政11年(1799)大和郡山に生まれ,赤膚アカハダ焼の名工
    と称され,作品は精巧,雅致に富み,仁清風,高取風,萩風をよ
    く模し,型物や楽焼にも巧みであった。能人形は特に有名。
   
   木米モクベイ 日本三大陶工の一人で,姓を青木という。京都の人。
   
   物原モノハラ 窯跡付近において古陶片の散乱しているところ。失敗作
    品の廃棄場所。
   
   紅葉呉器モミジゴキ 朝鮮茶碗の一手。釉面に赤い鹿子斑の斑点が美し
    く出,紅葉を散らしたようなのでこの名がある。
   
   紅葉半使モミジハンス 朝鮮風の半使茶碗の一種で,釉に赤い斑が美しく
    出ているものを,もみじにみたててつけた呼称である。
   
   茂三半使モサンバンス 対馬の陶工茂三が釜山窯て焼造した半使形の茶碗
    をいう。
   
  [や]
   山茶碗ヤマヂャワン 尾張,三河地方で俗に行基焼,又は藤四郎焼ともい
    われる茶碗。「延喜式」に小坏,山坏などと呼ばれるもの。
   
   柔らか手ヤワラカデ 高麗茶碗の一手。上は柔らかでねっとりした味わ
    いがあり,真白い釉がどろりと掛かっている。
   
   遊撃ユウゲキ 朝鮮の名物茶碗。文禄,慶長の役の講和使節として来日
    した遊撃将軍沈惟敬が持参した茶碗,又は同手の茶碗。
   
   油滴ユテキ 中国の天目茶碗の一手。茶碗の内外に油の点に似た釉色の
    現れたもの。
   
   窯変ヨウヘン 陶磁器焼成中,胎土や釉薬に含まれた鉱物の性質と,火
    焔の性質とが相応じて,偶然に予想しない釉色,釉相が現れるこ
    と。火変わり。
   
   米量ヨネハカリ 古唐津の一手。これは米をすくって測るのに用いたとい
    われているが,実際には米櫃の中で米をすくうためにのみ用いた
    のであろう。
   
  [ら]
   利休ととやリキュウトトヤ 朝鮮茶碗。ととやの本歌である。ととやは魚屋
    のことで,斗々屋とも書く。魚屋の店で利休が見出して秘蔵した
    という。
   
   李朝白磁リチョウハクジ 朝鮮李朝時代の堅手の白磁。青味を帯びた磁器
    質で,鉄砂,辰砂で文様を描いたが,その巧妙さは比類がないと
    いわれる。
   
   竜文堂安平リュウモンドウヤスヘイ 京都の鋳物師。通称安之介。家職の鉄瓶
    のほかに文房具,香炉なども多く作った。隠居後,木米について
    作陶を習い,特に酒盃が有名。
   
   了入リョウニュウ 楽家九代。八代得入の弟。
   
   礼賓レイヒン 三島手の茶碗で,見込みに「初賓」又は「礼賓執用」と
    象嵌ゾウガンの文字のあるもの。礼賓寺の什器。
   
   蓮月レンゲツ 知恩院勤仕大田垣光古の養女。33歳で剃髪して蓮月と号
    した。幕末歌人として高名で,また手捏ねの茶器に自詠の歌と号
    を彫り,蓮月焼としてもてはやされた。
   
   轆轤ロクロ 陶磁器成形のための旋盤。盤上には陶土を置いて旋回さ
    せ,それにつれて陶土を引き上げ種々の形に成形する。このとき
    器物に周回して現れる条痕をロクロ目といって,一種の注目点と
    なることがある。
   
   露胎ロタイ 釉が掛からないで胎が顕アラワになっているもので,茶器の
    場合に「土を見る」という。
   
  [わ]
   割高台ワリコウダイ 高台を一カ所から三,四カ所欠き割ったもの。朝鮮
    茶碗,萩,八代,薩摩焼の茶碗などに多くある。
   
                    参考「茶碗のみかた」保育社
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