21d 茶碗字典
塩笥シオゲ 朝鮮の塩や味噌を入れる器。胴がふくらんで口がつぼま
った形の小壷の一種。
磁器ジキ 素地は白色,半透明で,全く吸水性のない焼物。叩くと金
属性の音を発する。主要産地は瀬戸,京都,九谷,有田など。
七種の天目シチシュノテンモク 建盞ケンサン,烏盞ウサン,曜変ヨウヘン,灰被ハイカブリ,
油滴ユテキ,黄盞,玳皮盞タイヒサンのこと。
七宝繋ぎシッポウツナギ 両端の尖った長楕円形を繋ぎ合わせた文様。
志野織部シノオリベ 志野に似た織部焼。
珠光シュコウ 茶の湯の始祖。村田珠光。
珠光青磁シュコウセイジ 外面に猫掻文様,内面に画花門,櫛目文のある
一種の青磁。僅かに鉄分のある胎土に,淡暗黄褐色の釉薬を施し
てある。この名は珠光の愛用した茶碗にこの手のものがあったの
による。
紹鴎ジョウオウ 茶道初期の茶人。武野紹鴎。千利休の師。
常慶ジョウケイ 楽家二代。宗慶の次男。
祥瑞ションズイ 中国産の染付磁器の一種。高台内に「五良大甫 呉祥
瑞造」との2行の銘があるので呼ぶ。
白楽シロラク 白釉の楽焼。
吸坂古九谷スイサカコクタニ 古九谷以前に江沼群吸坂(加賀市)の地にお
いて焼かれたもの。寛永年間(1624〜44)加賀藩三代目前田利常
が瀬戸などから陶工を招いて,茶器類を焼かせたのが始まり。瀬
戸風の褐釉陶又は備前風せっ器の抹茶器が主。
砂高台スナコウダイ 高台下に砂粒の痕が残っているもので,朝鮮風の茶
碗などに多い。この砂粒は重ね焼きの際高台の溶着を防ぐため蒔
いたもの。
砂目スナメ 茶溜まりの周り,またその中に円く目ができているのが砂
目である。これは重ね焼きのとき器物と器物の間に砂を入れ,そ
の跡の残った目である。景色として見立て,茶人の愛するもので
ある。
青磁セイジ 青い釉の掛かった高火度焼成の焼物。灰釉に含まれる僅
かな鉄分が還元して青色を呈する。中国漢代に越州窯で今までの
草色から淡緑へと洗練され,唐末から五代にかけて秘色青磁とし
て完成。宋代に至って官窯,汝窯,竜泉窯などで完璧となる。
青白磁セイハクジ 青磁と白磁の中間で,中国では影青インチンと呼んだ。
白色半透明の薄い磁胎に青磁釉を薄掛けしたもの。宋,元代,景
徳鎮窯で大量に焼かれた。
膳所光悦ゼゼコウエツ 滋賀県大津市膳所の土で作った本阿弥光悦作の
茶碗。
せっ器セッキ 焼物を分類すると,土器,陶器,せっ器,磁器に大別で
きる。せっ器は素地が不透明で気孔性がなく有色である。気孔性
がない点で陶器と区別し,不透明の点で磁器と区別する。
瀬戸唐津セトガラツ 釉薬が瀬戸に似たものを使用しているのでこの名
がある。本手瀬戸唐津と皮鯨の2種がある。本手の方が古い。
瀬戸黒セトグロ 瀬戸焼の一手。黒釉のかかった器で,主に茶碗が多
い。一名天正黒という。
瀬戸天目セトテンモク 瀬戸又は美濃で焼造された天目形の茶碗。
千少庵センショウアン 利休の後妻宗恩の子。天文15年(1546)生まれ。
千叟センソウ 千仙叟宗室。裏千家初代。
千宗旦センソウタン 利休の孫。天正6年(1578)生まれ。
総赤絵ソウアカエ 中国宋代の赤絵の焼物で,釉上着画のものでは最古の
焼物。磁州など北方の窯で焼かれたものとみられる。
相阿弥ソウアミ 足利幕府の同期衆の一人。能阿弥の孫。
象嵌ゾウガン 陶磁器などに施す装飾法の一つ。沈刻又は押印の文様
に異色の泥を塗り埋める技法。
宗入ソウニュウ 楽家五代。一入の養子。
宗味ソウミ 田中宗味。楽焼元祖宗慶の子。元禄ごろまでの系譜では二
代目になっていたが,後楽代々から省かれて,脇窯として扱われ
ている。
蕎麦ソバ 朝鮮茶碗の一手。地肌,色あいが蕎麦に似ているのでこの
名がある。
染付ソメツケ 白素地に呉須(コバルト)で絵付を施し釉薬を掛けて焼
造したもの。中国では青花,釉裏青という。
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