21c 茶碗字典
 
   古赤絵コアカエ 古渡りの赤絵。時期は中国の明ミンの頃から嘉靖,万暦
    頃までの赤絵。
   
   小井戸コイド 朝鮮井戸茶碗のうちでやや小形のもの。
   
   光悦コウエツ 桃山,江戸初期の大芸術家。姓を本阿弥ホンナミ,名を次郎
    三郎という。本業は刀剣の目利きであったが,余技として書,画,
    茶,香,花,陶,漆などの諸芸に卓越した才能を発揮した。
   
   高台コウダイ 碗,皿などの器底の基台を形成した部分。いとぞこ。そ
    の形により,碁笥ゴケ底,べた高台,三日月高台,竹節高台,撥バ
    チ高台,四方高台,切高台,桜高台などがある。
   
   高麗塩笥コウライシオゲ 高麗茶碗。その形が塩壷に似ているのでこの名
    がある。総体的に枇杷色で,佗び茶碗の最高といえる。
   
   高麗青磁コウライセイジ 新羅時代の高火度灰陶の器面に灰釉を塗った灰
    釉陶が,高麗時代に中国越州窯(五代),竜泉窯(宋)の影響を
    受けて本格的青磁に成長した。
   
   高麗茶碗コウライヂャワン 朝鮮の茶碗。井戸,筆洗,割高台,古高麗,呉
    器,半使,絵高麗,伊羅保,刷毛目ハケメ,高麗青磁,三島,粉引コヒ
    キ,雨漏,玉子手,堅手,金海,熊川コモガイ,御所丸,御本,とと
    や,柿カキの蔕ヘタ,雲鶴ウンカクなどがある。
   
   五岳ゴガク 楽茶碗の口縁にある凹凸。
   
   古唐津コガラツ 唐津焼は佐賀県の岸嶽山麓の窯が最も古く,文禄三年
    (1594)まで波多氏の保護で発展した。
   
   小貫入コカンニュウ 井戸茶碗の一手。釉にこまかい貫入があってやや小
    形のもの。
   
   呉器ゴキ 御器。もと禅寺の塗椀でその形に似た高麗茶碗をいう。胴
    は半円形で高台がばち形にひらいた形式。
   
   古九谷コクタニ 江戸初期,石川県の九谷で焼造された色絵磁器。開窯,
    廃窯の磁器については諸説がある。
   
   焦げコゲ 陶面に現れる黒褐色のことで,古信楽では火度が強いため
    に現れ,古伊賀では自然の溶岩のように見える。
   
   碁笥底ゴケゾコ 上げ底風で,凸出した高台のないもの。
   
   御所丸ゴショマル 御所丸は対鮮貿易に使用された御用船。文禄,慶長
    の役のとき,島津義弘が茶碗を朝鮮で焼かせて,それを御所丸船
    に託して秀吉に献上したことからきた名称。沓形で胴が引き締ま
    った形が多い。
   
   呉須ゴス コバルト化合物を含む鉱物で,陶磁器彩料として重要。青
    絵釉ともいう。また一種の磁器をも指し,装飾様式をも指す。
   
   古万古コバンコ 万古は一時廃窯,後世再び起こった万古焼に対して,
    旧窯の作品。沼浪弄山が伊勢,江戸でつくった陶器を呼ぶ。
   
   御判手ゴハンデ 島津藩主の義弘,家久が薩摩焼の良器に自ら捺印し
    たもの。古帖佐コチョウサ焼,苗代川ナエシロガワ焼がある。
   
   粉引コヒキ 朝鮮茶碗の一手。粉吹ともいう。白釉が粉を吹いたように
    なるのでこの名がある。
   
   古備前コビゼン 備前焼初期のもの,天正(1573〜92)以前のものを
    いう。無釉の締焼で南蛮風のもの,火襷,焦げなどが見られる。
   
   小堀遠州コボリエンシュウ 遠州流の茶祖。天正7年(1579)生まれ。名は
   政一。
   
   御本ゴホン 桃山,江戸初期にかけてわが国から朝鮮へ見本(御手本
    )を示して誂え焼かせた茶碗など。
   
   熊川コモガイ 朝鮮産茶碗の一手。朝鮮慶尚南道熊川の産であるところ
    からの名称。
   
  [さ]
   在銘品ザイメイヒン 茶碗,茶入,茶杓などの箱書付に,銘が書き添えて
    ある茶器をいう。箱に書かれる場合と,器物に直接漆などで書か
    れる場合とがある。
   
   薩摩茶碗サツマチャワン 朝鮮役後に渡来した朝鮮陶工が薩摩で焼成した茶
    碗。金海と金和の親子が薩摩焼の基礎をつくった。
   
   左入サニュウ 楽家六代。宗入の養子。
   
   酸化焔サンカエン 酸素に富む完全燃焼の火焔。一般に陶器は酸化焔で,
    磁器は還元焔で焼くが,稀に例外もある。→還元焔
   
   三作三島サンサクミシマ 三島茶碗の一種。外側は粉引,その裾が刷毛目に
    なり,内面は三島象嵌ゾウガンとなっている茶碗をいう。
[次へ進んで下さい]