05a やきものはあなたの手で〈楽焼き〉
〈焼成ショウセイ〉
楽焼きの焼き方は,「焼成中に引き出す」方法と,「焚タき冷ま
す」方法の二つがあります。引き出す方法は,釉掛けした作品を十
分乾かし,窯カマに入れ,釉薬が溶けたら手早く火挟みで挟んで引き
出します。次に入れる作品は,このときあらかじめ暖めておき,こ
れを繰り返します。短時間で多く焼け,また次々と作品が焼け出て
きますので,心が躍ります。
作品によっては引き出しが出来ないものもありますので,このと
きは焚き冷ましによります。作品は窯が冷えてから取り出します。
楽焼きの窯は,一般に中窯(マッフル窯)の形式を採っています。
窯の内側に中窯を置いて,内壁との間を適当に開け,そこへ木炭や
コークスを入れます。燃料が燃えて中窯を加熱するものです。作品
は中窯に入れて焼く訳ですが,燃料の灰などが付着しないような仕
組みになっているのです。
電気炉ですと中窯不要ですので扱いやすく,楽焼き窯としては最
も便利です。
小さい作品のときは,代用窯としてコンロを使うときもあります。
中窯と外窯は素焼きの植木鉢で代用できます。いろいろ工夫してみ
て下さい。
〈楽焼きの実際〉
では,アクセサリーを作ってみましょう。
このとき使用する粘土は普通の楽焼き粘土でも構いませんが,今
回は白雲粘土(市販のもの)にしましょう。この粘土は,石灰石と
マグネシャからなる白雲石を主体とするきめ細かい粘土で,焼き上
げますと色が白く,軽いのが特徴です。
同型のものを沢山作るときは,石膏型を準備します。
@よく練った土を少量取って,掌で潰します。
A好みの形を作ります。
B上部に留金を入れる穴を開けます。
C石膏型に詰めて,成形します。
D表面がまだ軟らかいうちに,印花文や,篦ヘラなどで文様を付け
ます。押し型の深さに強弱をつけますと,色がいろいろ変化し
て趣があります。
E完全に乾燥しましたら,素焼きをします。
F小筆で好みの下絵の具を塗りますが,釉薬は乳鉢でよく撹拌し,
薄目にして2〜3回塗って下さい。
G浸し掛けのときは,ピンセットなどを使います。
Hあらかじめ板状の粘土に釘などを刺して剣山風にし,また粘土
の円柱にピアノ線などを刺して枯れ木風のものを作って,素焼
き温度で焼いた「トチ」に,作品を止めて焼きますと便利です。
Iこのような作品は,焚き冷まし(焼き冷まし)の方法によりま
す。
〈七宝シッポウの釉薬を使う〉
七宝の釉薬は楽焼きのものと同じような性質ですので,熱によっ
て硝子状に溶けます。色彩も透明色,半透明色,不透明色などいろ
いろです。短時間で焼け,面白く焼き上がります。
市販の釉薬を小皿に入れ,水で溶いて,うわ水は捨てます。先の
尖ったもので,素焼きした作品の表面に,釉薬を載せるようにして
いきます。
完全に乾いてから,焚き冷ましの方法で焼いて下さい。
参考:「やきもの製作の実際」理工学社
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