63 泣を詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
君によりよゝよゝよゝとよゝよゝと ねをのみぞなくよゝよゝよゝと
                            (古今和歌六帖 四恋)
 
白妙の袖別るべき日を近み 心にむせびねのみしなかゆ(萬葉集 四相聞 紀郎女)
 
若草の つまはとりつき 平らけく われはいははむ まさきくて 早かへり来コと ま
そでもち なみだをのごひ むせびつつ 言語コトトひすれば(下略)(萬葉集 二十)
 
旅づとにもてるかれいほほろほろと 泪ぞ落る都思へば(倭訓栞 前編二十八保)
 
(前略)たまもひに みづさへもり なきそぼちゆく かげひめあはれ
                         (影姫 日本書紀 十六武烈)
 
△悲歎
いまきなるをむれがうへにくもだにも しるくしたゝばなにかなげかむ
                           (日本書紀 二十六斉明)
 
掛巻くも 綾に恐こし 言は巻くも 斎忌ユユしきかも 吾が王オホキミ 御子ミコの命ミコト 万
代ヨロヅヨに 食メし賜はまし 大日本ヤマト くにの京ミヤコは 打ち靡く 春去りぬれば 山
辺には 花咲きをゝり 河せには 年魚アユこさ走り 弥イヤ日異ヒケに 栄ゆる時に 逆言
オヨヅレの 枉事マガゴトとかも 白細シロタヘに 舎人トネリ装束ヨソひて 和豆香山ワヅカヤマ 御輿
ミコシ立たして 久堅の 天知らしぬれ こいまろび ひづち泣けども せむすべもなし
反歌
吾が王オホキミ天知らさむと思はねば おほにぞ見ける わづかそま山
足びきの山さへ光り咲く花の 散りにし如き吾が王かも(萬葉集 三挽歌)
 
すめろぎの とほの朝廷ミカドと からくにに わたるわがせは いへびとの いはひま
たねか たたみかも あやまちしけん あきさらば かへりまさむと たらちねの は
はにまうして ときもすぎ つきもへぬれば 今日かこむ 明日かもこむと いへびと
は まちこふらむに とほのくに いまだもつかず やまとをも とほくさかりて い
はがねの あらきしまねに やどりする君(反歌略)(萬葉集 十五)
 
△憂イキドホル
あふみのみせたのわたりにかづくとり めにしみえねばいきとほろしも
                             (日本書紀 九神功)
 
白塗りの 小鈴もゆらに あはせやり ふりさけ見つつ いきどほる こゝろのうちを
思ひのべ うれしびながら(下略)(萬葉集 十九)
 
△疑ウタガフ
うらみぬもうたがはしくぞおもほゆる たのむ心のなきかとおもへば
                     (拾遺和歌集 十五恋 よみ人しらず)
 
△惑マドフ
石上イソノカミ ふるの尊ミコトは 弱女タワヤメの 惑ひによりて 馬自物ウマジモノ 縄取りつけて
(下略)(萬葉集 六雑歌)
 
あひみまくほしはかずなく有ながら 人に月なみまどひこそすれ
                    (古今和歌集 十九誹諧 きのありとも)
 
△恥
世中はいかにくるしと思らん こゝらの人にうらみらるれば
                    (古今和歌集 十九誹諧 在原もとたか)
 
△悪(厭イトフ)
雲もなくなぎたるあさの我なれや いとはれてのみよをばへぬらん
                     (古今和歌集 十五恋 きのとものり)
 
△妬ネタム
おきへにはをぶねつららくくろざきの まさづこわぎもくにへくだらす
                              (古事記 下仁徳)
 
△欲ホル
我が欲ホリし雨は降来ぬかくしあらば ことあげずとも年は栄えむ
                      (蓋(土扁+蓋)嚢抄 一 萬葉集)
 
△性癖
賢しと言ふよりは酒飲みて 酔エひ哭きするしまさりたるらし
                    (続日本後紀 十三仁明 萬葉集三雑歌)

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