17 和歌学び
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△歌学方
例題歌無し
 
△歌人
長歌
歌人ウタヒトと 和ワをのすらめや 笛吹きと 和をのすらめや 琴引きと 和をのすらめや
                              (萬葉集 十六巻)
 
ふく風にこほりとけたる池のうへを ちよまで松のかげにかくれん
                            (大鏡 四右大臣帥輔)
 
はるかぜにこほりとけたるいけのうをは ちよまつかげにすまむとぞ思ふ
                           (袋草紙 三 藤原帥輔)
 
ことなつはいかゞなきけんほとゝぎす このよひばかりあやしきぞなき(つらゆき)
てる月をゆみはりとしもいふ事は 山のはさしていればなりけり(みつね)
しらくものこのかたにしもおりゐるは あまつ風こそふきてきぬらし(同)
                                 (大鏡 八)
 
むらさきのくもとぞみゆるふぢの花 いかなるやどのしるしなるらむ
                       (今昔物語 二十四 公任大納言)
 
あふ坂の関の清水に影見えて 今や引らん望月の駒(貫之)
相坂の関の岩かど踏ならし 山たちいづる桐原の駒(高遠)(西公談抄)
 
住人もなき山里の秋のよは 月のひかりもさびしかりけり(袋草紙 三 範永朝臣)
 
いなり山こえてやきつる郭公 ゆふかけてしも声の聞ゆる
                    (続世継 十敷島の打聞 左衛門尉頼実)
 
夏の夜の月まつほどの手すさびに 岩もる清水いく掬ムスびしつ
                        (金葉和歌集 二夏 藤原基俊)
 
夏山のならのはそよぐゆふぐれは ことしも秋の心ちこそすれ
                     (続世継 十敷島の打聞 三河守頼綱)
 
わたのはらこぎいでゝみれば久かたの 雲ゐにまがふおきつ白浪
よしの山みねのさくらや咲ぬらん ふもとの里に匂ふ春かな
                       (続世継 五三笠の松 藤原忠通)
 
雲井よりなれし山ぢを今更に かすみへだてゝなげくはるかな
                         (続世継 六真澄の影 俊成)
 
霜月に霜の降こそ道理なれど 十月に十はふらぬぞ(徹書記物語 下 家隆卿)
 
明ば又秋の半も過ぬべし 傾ぶく月の惜きのみかは(民部卿定家)
鵲カササギの渡すやいづこ夕霜の 雲井に白き峯のかけ橋(宮内卿家隆)(今物語)
 
七重八重花はさけどもやまぶきの みのひとつだになきぞかなしき
遠くなりちかくなるみの浜千鳥 鳴音に潮のみちひきをぞ知る
そこひなき淵やはさわぐ山川の 浅き瀬にこそあだ波はたて
 
雨にきるみのなしとてや山吹の 露にぬるゝは心づかじを(雪玉実隆)
七重八重はなはさけども山吹のみのひとつだになきぞあやしき(兼明親王)
                            (以上、常山紀談 一)
 
遠くなり近くなるのみ浜千鳥 鳴ねに塩のみちひをぞしる(兼載雑談 暁月法師為守)
 
うらにしてひろへる玉のかずかずは やゝちはこにも過ぬらんかは
                         (玄旨法印をいためることば)
 
道の光代々にもこえて殊更の 君が恵みぞさぞな嬉しき(大納言実業卿)
返し
老が身にかけてぞあふぐ和歌の浦や なみにはあらぬ君が恵を(大納言通茂卿)
                             (風のしがらみ 中)
 
塩竃の烟のよそにたつ千鳥 またことうらの波になくなり
                        (四方の硯 雪 武者小路実陰)
 
くもならでかぜをやまたんくれ竹の なびけば走るまどの月かげ
                           (おほうみのはし 実陰)
 
心なきものともみえず月をねたみ 花にかくらふ雲のたちゐは
                          (風のしがらみ 中 光栄)
 
桂川こゝろにかけし一枝も 折られぬ水に身は沈みつゝ
ゆづかつら仰げばいとゞ高き木の きることかたき大和言のは(中略)
下野やなすのにしげる篠をとりて あづまをのこは矢にぞはぐなる
つひにわが著てもかへらぬ唐錦 立田や何のふるさとのやま
                         (近世畸人伝 三 隠士長流)
 
立よらばたちもよらせよ橘の かげふむ人は道まどひせじ
                     (松屋叢話 一 加藤又左衛門橘千蔭)
 
月よよしよよしと人につげやらば こてふににたりまたずしもあらず
                       (続世継 九賢き道々 能因法師)
 
都をば霞とともにたちしかど 秋風ぞふく白川の関(古今著聞集 五和歌 能因)
 
秋風に草木の露を払せて 君が越れば関守も無し(吾妻鏡 九 能因法師)
 
草のいほを何露けしと思ひけん もらぬいはやも袖ぞぬれける
もろともにあはれと思へ山桜 花よりほかにしる人もなし
                       (続世継 八源氏の御息所 行尊)
 
今よりはかけておろかにいはしみづ 御らんをへつるたきのしらいと
                        (続世継 十敷島の打聞 琳賢)
 
ことのはのなさけたへぬる折ふしに ありあふ身こそかなしかりけれ(西行法師)
返し
しきしまやたえぬる道もなくなくも 君とのみこそ跡をしのばめ(寂念法師)
                            (古今著聞集 五和歌)
 
五月雨はみつのみまきのまこも草 かりほすひまもあらじとぞ思ふ
                             (袋草紙 二 相模)
 
いにしへのならの宮古のやへざくら けふこゝのへににほひけるかな
                           (袋草紙 三 藤原道長)
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