05 歌会始[御製]
歌会始[御製]
参考:毎日新聞社発行「宮中歌会始」など
昭和二十二年度 昭和二十二年一月二十三日
御題 あけぼの
御製 たのもしくよはあけそめぬ水戸の町うつつちおともたかくきこえて
昭和二十三年度 昭和二十三年一月二十九日
御題 春山ハルノヤマ
御製 うらうらとかすむ春べになりぬれど山には雪ののこりてさむし
皇后宮御歌 ふきのたうつむ手やすめて春霞たなびくをちの山をみるかな
皇太后宮御歌 しまやまの椿の花もさきぬらむふもとの里のはるのあかるさ
昭和二十四年度 昭和二十四年一月二十四日
御題 朝雪アシタノユキ
御製 庭のおもにつもるゆきみてさむからむ人をいとどもおもふけさかな
皇后宮御歌 あさひかげうららにさしてみほりべの松のこずゑのゆきぞかがよふ
皇太后宮御歌 早咲の梅が香のみを残しおきてゆきのうづみしけさの庭かな
昭和二十五年度 昭和二十五年一月三十一日
御題 若草
御製 もえいづる春のわかくさよろこびのいろをたたへて子らのつむみゆ
皇后宮御歌 とりがねもとほくきこえてあけそむるみそのうつくし若草のいろ
皇太后宮御歌 鴬のこゑにひかれていで来ればうめさく庭に青しわかくさ
昭和二十六年度 昭和二十六年一月二十六日
御題 朝空アシタノソラ
御製 淡路アハジなるうみべの宿ゆ朝雲のたなびく空をとほく見さけつ
皇后宮御歌 月かげもあはくのこりてあさみどりすがすがしくもあけそむるそら
皇太后宮御歌 このねぬる朝けの空に光ありのぼる日かげはまだ見えねども
昭和二十七年度
昭和二十六年五月皇太后崩御,宮中喪のため御歌会始は行われなかった。
昭和二十八年度 昭和二十八年二月五日
御題 船出
御製 しもにけぶる相模の海の沖さして舟ぞいでゆく朝の寒きに
皇后宮御歌 めずらしきさちを得ませといのりつつ葉山の海に御舟おくりつ
昭和二十九年度 昭和二十九年一月十二日
御題 林
御製 ほのぼのと夜はあけそめぬ静かなる那須野の林鳥の声して
皇后宮御歌 から松をゆけばめづらしく霧藻のかかる枝も見えけり
昭和三十年度 昭和三十年一月十二日
御題 泉
御製 みずならの林をゆけば谷かげの岩間に清水わきいづる見ゆ
皇后宮御歌 おひしげるを草わけつつわきいづる岩間の清水立ちよりて見つ
昭和三十一年度 昭和三十一年一月十二日
御題 早春
御製 たのしげに雉子キギスのあそぶわが庭に朝霜ふりて春なほ寒し
皇后宮御歌 春あさみ風はさゆれど日だまりにはやももえたり菊の若芽は
昭和三十二年度 昭和三十二年一月十一日
御題 ともしび
御製 港まつり光りかがやく夜の舟にこたへてわれもともしびをふる
皇后宮御歌 大磯かはた茅が崎かやみの夜を海のあなたに光るともしび
昭和三十三年度 昭和三十三年一月十日
御題 雲
御製 高原のをちにそびゆる那須岳に帯にも似たる白雲かかる
皇后宮御歌 つぎつぎにかたちをかへて白雲のあを空とほくながれゆく見ゆ
昭和三十四年度 昭和三十四年一月十二日
御題 窓
御製 春なれや楽しく遊ぶ雉子らのすがたを見つつ窓のへに立つ
皇后宮御歌 皇子とともに部屋の窓よりながめけり夕日にはゆる白樺林
昭和三十五年度 昭和三十五年一月十二日
御題 光
御製 さしのぼる朝日の光へだてなく世を照らさむぞ我がねがひなる
皇后宮御歌 あたらしき力わきくる心地して朝日の光あふぎみるかな
昭和三十六年度 昭和三十六年一月十二日
御題 若
御製 旧き都ローマにきそふ若人を那須のゆふべにはるかに思ふ
皇后宮御歌 上野毛のわこのにひやに訪ひくればやぬちことごと若さみちみつ
昭和三十七年度 昭和三十七年一月十二日
御題 土
御製 武蔵野の草のさまざまわが庭の土やはらげておほしたてきつ
皇后宮御歌 春ごとに山辺の土にしたしめり苗を植ゑつつ種をまきつつ
昭和三十八年度 昭和三十八年一月十日
御題 草原
御製 那須の山そびえてみゆる草原にいろとりどりの野の花はさく
皇后宮御歌 見わたせば広野がすゑは山につづく君がめでます那須の草原
昭和三十九年度 昭和三十九年一月十日
御題 紙
御製 世にいだす那須の草木の書フミ編みて紙のたふときことも知りにき
皇后宮御歌 みそのふのかうぞの木もてすかせたる紙にいくとせゑがききにけり
昭和四十年度 昭和四十年一月十二日
御題 鳥
御製 国のつとめはたさむとゆく道のした堀にここだも鴨は群れたり
皇后宮御歌 吹上と赤坂の空を飛びかひしおほづるの姿いまも目にみゆ
昭和四十一年度 昭和四十一年一月十三日
御題 声
御製 日日のこのわがゆく道を正さむとかくれたる人の声をもとむる
皇后宮御歌 外ツつ国のワシントンなる孫の声テープの声をいま耳にしつ
[次へ進んで下さい]