星を戴いて出で、星を戴いて帰る。 解釈:まだ星の見える明け方に家を出て、夜遅く星が出た後、家に帰る。仕 事に励むこと。 星を数うる如し。 解釈:きりがないこと。成功の見込みがないことのたとえ。 細き流も大河となる。 解釈:小さな努力を積み重ねていると、大きな成果を得ることのたとえ。 類義:木は最初の一撃では倒れない。鳥は少しずつ巣を作る。 細くても針は呑めぬ。 解釈:小さくても馬鹿にできない物事のたとえ。 類義:山椒は小粒でもぴりりと辛い。針は小さいが呑まれない。針は包まれ ぬ。 細くも樫(かし)の木。 解釈:小さくても質(たち)のよい物は、丈夫である。 臍(ほぞ)を噛む(かむ)。 解釈:自分の臍(へそ)を噛もうと思っても、口が届かないという意味で、 後悔してもどうにもならないこと。悔やむこと。 牡丹餅(ぼたもち)で腰打つ。 解釈:巧い話が舞込んでくること。幸運に出会うこと。 類義:あんころ餅で尻を叩かれる。牡丹餅食って砂糖の木に登る。牡丹餅で 面(つら)。牡丹餅で頬っぺたを叩かれる。 参考:His bread is buttered on both sides.(涸れのパンには両面バター が塗ってある) 蛍の光、窓の雪。 類義:蛍雪(けいせつ)。 北国(ほっこく)の雷。 解釈:着のみ着のままの意。北国では雷が北の方で鳴ることから、「北鳴り (きたなり)」と「着たなり」を掛けている。 ぼつぼつ三年、波八年。 解釈:日本画の修業は厳しく、長い年月がかかるということ。点々の苔(こ け)が描けるようになるまで三年、波の形が描けるようになるまで八年もかか るという意。 類義:ぼちぼち三年。 仏あれば、衆生(しゅじょう)あり。 解釈:この世の中、仏があるからこそ凡人も存在する。また、凡人があるか らこそ仏も存在するという意。 類義:罪人あればこそ善人も顕れる。下手があるので上手が知れる。 仏千人、神千人。 解釈:世間には善人も数多くいるというたとえ。 仏頼んで、地獄へ堕ちる。 解釈:願った事と逆の結果が生じるたとえ。 類義:仏頼んで、畜生道。 仏作って、魂入(い)れず。 解釈:最も大切な事を疎かにすること。幾ら立派な仏像を作っても、それ に魂を入れなければ、結局は木や銅の細工物でしかあり得ない。 類義:画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く。 九仞(きゅうじん)の功を 一簀(いっき)に虧(か)く。仏作って、眼(まなこ)を入れず。 仏なぶりの暇潰し。 解釈:仏教に身を入れ過ぎるのは、愚かなことであるという意。 仏の顔に糞を塗る。 解釈:尊い物を汚すという意。 類義:仏頭に糞を塗る。 仏の顔も三度。 解釈:慈悲深い仏でも、その顔を三度撫でれば腹を立てる。如何に温和な人 でも、度重なる無礼には我慢ができないことをいう。 類義:兎も七日なぶれば、噛み付く。地蔵の顔も三度。猫の顔も三度。仏の 顔も日に三度。 仏の顔も日に三度。 解釈:幾ら大人しい人でも、何度も不愉快な事をされれば、腹を立てるとい う意。 類義:仏の顔も三度。仏の顔も二度三度。 仏の沙汰も銭(ぜに)。 解釈:この世の中は、全てが金(かね)で解決するという意。 類義:地獄の沙汰も金次第。 仏の光より、金(かね)の光。 解釈:仏の恩恵も、金の力には敵わない。 類義:阿弥陀(あみだ)の光より、金の光。阿弥陀も銭で光る。金が敵(か たき)。地獄の沙汰も金次第。銭は阿弥陀ほど光る。 仏は見通し。 解釈:仏の前では、どんな事でも見透かされてしまうので、偽ることは不可 能だということ。 類義:神は見通し。 仏放っとけ、神構うな。 解釈:信仰には、深入りしない方がいいということ。 類義:触らぬ神に祟りなし。 仏も昔は凡夫(ぼんぷ)なり。 解釈:釈迦も最初から悟られたのではなく、あらゆる苦行の末に教えを開か れたのだから、誰でも修行次第で、立派な人物になることができるということ から。 類義:迷えば凡夫、悟れば仏。 骨折り損の草臥(くたびれ)儲け。 解釈:効果が上がらず、無駄な疲労のみで終わってしまうこと。 類義:犬骨折って、鷹の餌食。しんどが利。灯心(とうしん)で竹の根を掘 る。労して功なし。 骨をしゃぶって皿に及ぶ。 解釈:冷酷なやり方で、全てを奪い取ってしまうこと。 誉れは毀(そし)りの基。 解釈:名誉を得ることによって、同時に憎しみを買って非難されるというこ と。 類義:出る杭(くい)は打たれる。 褒めて千人、悪口万人。 解釈:世の中には他人を褒める人は少なく、悪く言う人の方が多いというた とえ。 褒める子の寝糞(ねぐそ)。 解釈:褒められた矢先に、失態を曝(さら)すこと。 類義:褒める子の夜糞(よぐそ)。 褒める人に買った例(ためし)なし。 解釈:手放しで褒めそやすのは、商品を買う気のない証拠である。また、お 世辞を言うような人に、親身な人はいないということ。 類義:品物を褒める人に、買うた例なし。褒める人は買わぬ。 褒める人には油断すな。 解釈:お世辞を言う人には用心した方がよいということ。 類義:旨い物食うて油断すな。巧言令色(こうげんれいしょく)鮮(すくな) し仁。美言(びげん)真(しん)ならず。 吠ゆる犬は打たるる。 解釈:慕ってくる者は大事に扱われるものだが、反抗する者は憎まれるもの だとうこと。 類義:袖の下に回る子は打たれぬ。 洞(ほら)が峠を決め込む。 解釈:形勢を傍観して、何時でも有利な方に付けるような態度を執ること。 羽柴(豊臣)秀吉と明智光秀が京都の山崎で対決した際、筒井順慶(じゅんけ い)は京都と大坂の境、洞が峠に陣取り、戦況の有利な方に味方しようとした という故事による。 類義:蝙蝠(こうもり)。筒井順慶を決め込む。日和見の順慶。 洞が峠を下る。 解釈:どちらが有利か形勢を見た後、優勢な方に味方すること。 法螺(ほら)と喇叭(ラッパ)は大きく吹け。 解釈:法螺を吹くなら、嘘だとはっきり分かるほど大きく吹くのがよいとい うこと。誰も信じてくれないような大きな法螺なら、本当らしい嘘を吐くより も罪がない。 蒲柳(ほりゅう)の質(しつ)。 解釈:虚弱体質(きょじゃくたいしつ)のこと。「蒲柳」は川柳(かわやな ぎ)のこと。 類義:蒲柳の姿。 惚れた腫れたは当座のうち。 解釈:惚れたとか惚れられたと言っているのは、結婚して間もない頃だけの ことで、やがて世帯やつれがして単調な生活になるということ。 惚れた病に薬なし。 解釈:恋患いを治す薬はないということ。 類義:恋の病に薬なし。恋の山には孔子(くじ)の倒れ。四百四病(しひゃ くしびょう)の外(ほか)。 惚れた欲目。 解釈:愛する相手の事なら、その欠点すらよく見えるということ。 類義:痘痕(あばた)も靨(えくぼ)。 参考:Love sees no faults.(恋はどんな欠点も見えない) 惚れて通えば、千里も一里。 解釈:愛する相手の許(もと)へ向かうなら、どんな遠い道程(みちのり) も辛くないということ。「逢わずに戻れば、また千里」と続く。 襤褸屋(ぼろや)に貧乏なし。 解釈:ボロの売買で生計を立てている人は、仕事は汚く見えるが、生活には 困らないということ。 類義:襤褸屋のぼろ儲け。 本卦(ほんけ)還りの三つ子。 解釈:人は年を取ると子供のように無邪気になるということ。「本卦還り」 とは、生まれた年の干支(えと)に帰るという意味で、六十歳になること。 類義:七十の三つ子。六十の三つ子。 盆過ぎての鯖商い。 解釈:昔は鯖を盆の贈り物にしたところから、時機を逸してしまうことのた とえ。 類義:十菊六菖。十日の菊、六日の菖蒲(しょうぶ)。 盆と正月が一緒に来たよう。 解釈:非常に忙しいことのたとえ。嬉しい事が重なること。 類義:盆と祭が一緒に来たよう。 煩悩(ぼんのう)の犬は、追えども去らず。 解釈:人間に纏わり付く悩みや欲望は、幾ら追い払っても、人に付き纏う犬 のように離れない。 類義:煩悩の犬。煩悩は首に乗る。 凡夫(ぼんぷ)盛んに、神祟りなし。 解釈:たとえ凡夫でも、勢い付いているときは、神や仏の力も敵わないとい う意。 類義:悪運強ければ、人天に勝つ。人盛んにして、神祟らず。仏力(ぶつり き)も強力(ごうりき)に勝たず。 本丸から火を出す。 解釈:自ら滅び、崩れ去ること。 奔命(ほんめい)に罷る(つかる)。 解釈:主命によって走り回るということから、忙しく立ち働いて疲れ果てる こと。 盆を覆す(くつがえす)。 解釈:雨が激しく降る様のたとえ。 類義:盆を傾ける。 |