似合い似合いの釜の蓋。
解釈:似た者夫婦のこと。物にはそれぞれ似合った相手があるという意。
活用⇒物は、各々似合いの対になっている。The thing is a well
matched pair respectively.
類義:似合う夫婦の鍋の蓋。破鍋に綴蓋(とじぶた)。
似合わぬ僧の腕立て。
解釈:僧の腕自慢は相応しくないことから、不似合いで奇妙な物のたとえ。
類義:座頭(ざとう)の櫛。町人の刀好み。法師の軍咄(いくさばなし)。
坊主の公事(くじ)だくみ。
牲(にえ)に赴く羊。
解釈:刻々と死期の近づいている者のたとえ。また、不幸に直面して意気消
沈している者のこと。
類義:屠所(としょ)の羊。
煮湯(にえゆ)に水を注す(さす)。
解釈:煮え湯に水を注して生温くするように、中途半端ではっきりしないこ
と。
煮え湯を飲まされる。
解釈:心から信頼していた者に裏切られ、ひどい仕打ちをされること。
匂い松茸、味しめじ(湿地)。
解釈:香りで選ぶなら松茸が一番で、味ならシメジだという意。
二階から目薬。
解釈:二階から下にいる人に目薬を注そうとしても、思うように入らない。
周り遠くて、効き目のないことのたとえ。
類義:月夜に背中炙る(あぶる)。天井から目薬。二階から尻炙る。
苦い薬は泣いても飲め。
類義:良薬口に苦し、忠言耳に逆らう。
逃がした魚は大きい。
解釈:釣り損なった魚が大きく見えるように、手に入れかけて失った物は、
一団と惜しまれるということ。
活用⇒失った物は、大変惜しい。The lost thing is very regrettable.
類義:死ぬ子、眉目(みめ)よし。死んだ子は賢い。釣り落とした魚は大
きい。逃げた魚は大きい。
二月の瓜。
解釈:季節はずれの珍しい物。贅沢な食べ物をいう。
類義:寒中の筍。九月の独活(うど)。
二月は逃げて走る。
解釈:二月という月は、早く過ぎ去るように感じられ、正月の後直ぐに三月
が来るようだという意。
活用⇒二月は短い。It is short in February.
類義:一月いぬる、二月逃げる、三月去る。二月は逃げ月。二月一月(ひと
つき)は粉糠(こぬか)三合で暮らす。
苦瓢(にがひさご)にも取り得あり。
解釈:「苦瓢」は瓢箪(ひょうたん)の意。どんな詰まらない物にも、それ
なりによいところがあるという意。
活用⇒平凡な物にも、それなりの取り得がある。Also in an ordinary
thing, there is a moderate gain.
苦虫を噛み潰したよう。
解釈:「苦虫」とは噛めばどんなに苦いだろうかと思われる想像上の虫。ひ
どく不愉快そうな顔・様子のたとえ。
活用⇒不愉快だと思った瞬間。The moment when I thought that I was
unpleasant.
面皰(にきび)男に、雀斑(そばかす)女。
解釈:年頃(思春期)の男女をいう。思春期の男女はホルモンの分泌によっ
て脂肪分が多く、余分な脂肪が皮膚の表面に貯まって面皰となり、皮膚の色素
が集まって雀斑となる。
握り拳(こぶし)の素戻り(すもどり)。
解釈:働きに出て何も持たずに帰って来ること。また、借金をしに行ったが、
貸して貰えずすごすごと帰って来ること。
握れば拳(こぶし)、開けば掌(てのひら)。
解釈:同じ手でも握れば人を打つ拳となり、開けば人を撫でる優しい掌とな
るの意から、心の持ち方一つで同じ物でも様々に変化することのたとえ。
活用⇒思い方次第で、物の価値が変わる。The value of the thing
changes depending on how to think.
握れる拳(こぶし)、笑(え)める面(おもて)に当たらず。
解釈:怒って振り上げた拳も、笑顔で迎えられては打ち下ろすこともできな
い。
活用⇒自分の態度次第で、相手の態度も変わる。Other party's attitude
changes depending on my attitude.
類義:怒れる拳、笑顔に当たらず。袖の下に回る子は打たれぬ。笑う顔に矢
立たず。
憎い鷹には、餌(え)を飼え。
解釈:刃向かう者を力づくで屈服させてしまうより、寧ろ利益を与えて、手
懐(なず)けるようにした方が得である。
活用⇒強行者には、柔軟姿勢で対処する。It deals with those who
force it by the flexible attitude.
類義:憎い子には、飴ん棒くれろ。
憎い憎いは可愛いの裏。
解釈:憎いという気持は、可愛いという気持の裏返しで、可愛いと思うから
こそ憎いとも思うものである。
類義:可愛さ余って憎さ百倍。
参考:Who iove too much hate in like extreme.(沢山愛する者は、ひどく
憎む)
憎い嫁から、可愛い孫が生まれる。
解釈:どんなに憎い嫁から生まれた孫でも、姑にとっては孫は可愛いものだ。
活用⇒敵の侵略によって、平和が蘇った。Peace revived by the enemy's
invasion.
類義:憎い腹から可愛い孫が出る。
憎まれ子、世に出ずる。
類義:憎まれっ子、世に憚る(はばかる)。
憎まれっ子、世に憚る(はばかる)。
解釈:憎まれているような者が、かえって世の中で幅を利かせているという
意。
類義:渋柿の長持ち。憎まれ子、世に出ずる。呪うに死なず。
参考:A bad thing never dies.(悪しき者は決して死ぬことなし)
憎まれる所には居られても、煙い所には居られぬ。
解釈:人に憎まれる辛さは我慢できても、煙たい所はとても我慢できないと
いう意。
類義:睨む座敷には居られても、湿気る座敷には居られぬ。
反義:煙る座敷には居られるが、睨む座敷には居られぬ。
逃ぐるも一手。
解釈:戦うばかりが能ではない、戦わずして逃げることも戦法の一つだ。
活用⇒戦場では、逃げることも重要だ。Running away is also important
in the arena of warfare.
逃ぐる者、道を択ばず。
解釈:敵に追われて逃げる場合、いろいろ道を選んでいる暇などないように、
人は本当に困ればどんな事でもするものだ。
活用⇒緊急の場合、人はどんなことでも行おうとする。In the case of
emergency, the person is going to perform any kind of thing.
類義:窮すれば濫す(らんす)。
逃げた魚は大きい。
類義:逃がし魚は大きい。
逃げるが一の手。
解釈:物事の解決に策の施しようのないとき、寧ろ逃げるのが最良の方法で
ある。
活用⇒最善策を思い出せないときは、撤退せよ。Withdraw when you
cannot recall the best plan.
類義:三十六計逃げるに如(し)かず。
逃げるが勝ち。
解釈:まともに戦って勝敗を決めるよりは、寧ろその場は逃げる方が、勝利
に導く利口なやり方だ。
活用⇒戦場では、わざと逃げることもある。It is likely to run away
on purpose in the arena of warfare.
類義:三十六計逃げるに如(し)かず。逃げるが一の手。負けるが勝ち。
二間(にけん)の間で、三間の槍使う。
解釈:狭い所で思うように動けないことのたとえ。
類義:縁の下で鍬使い。
濁り酒は髭に付く。
解釈:安物や粗末な物にはそれなりの欠点がある。
濁りに染まぬ蓮(はちす)。
解釈:汚い泥の中に生えているが、蓮はその泥に汚されることなく美しい花
を咲かせる。汚れた環境にあっても、周囲の悪に染まらずに清廉さを保つこと
のたとえ。
活用⇒悪い環境に染まってはいけない。Do not dye to the damaging
environment.
類義:泥中(でいちゅう)の蓮。蓮花(れんげ)の水に在るが如し。
西風と夫婦喧嘩は、夕(ゆう)限り。
解釈:夫婦喧嘩というものは、昼間は激しくやり合っていても、夕方になる
と自然に収まるものだ。
類義:夫婦喧嘩と北風は夜凪(よなぎ)がする。
西から日が出る。
解釈:物事があべこべで、絶対にある筈がないことのたとえ。
類義:石が流れて、木の葉が沈む。
錦は頭巾にならぬ。
解釈:上等な物が全てに役立つとは限らないことのたとえ。ぼろ布は雑巾に
なっても、錦は雑巾には向かない。
錦を飾る。
類義:錦を衣(き)て故郷に帰る。
活用⇒私は出世しました。I have succeeded.
錦を衣(き)て故郷に帰る。
解釈:出世をして故郷に帰って来ること。
類義:故郷へ錦を着て帰る。錦を衣て昼行く。
参考:錦を衣て夜行く。
錦を衣て昼行く。
解釈:立身出世をして堂々と郷里に帰り、自分の名誉を人々に知らしめるこ
と。
類義: 錦を衣(き)て故郷に帰る。
錦を衣て夜行く。
解釈:立身出世はしたものの、故郷に帰らなければ、人々に知れ渡ることも
ないという意。
活用⇒私が出世したことを知人は知らない。The acquaintance doesn't
know I succeeded.
類義:繍(ぬいもの)を着て夜行く。
西と言うたら、東と悟れ。
解釈:人の言葉には必ず裏表があるものだから、鵜呑みにせず、その言葉の
奥にある意味を見抜かなければならない。
活用⇒彼の発言には裏表がある。その真意を見極めなさい。There are a
right meaning and a opposite meaning in his words. Ascertain the real
intention.
西の国で百万石も取るよう。
解釈:遠い西の国の実家が百万石の大名ででもあるかのような、大法螺を吹
いて自慢するのを嘲笑した言葉。
活用⇒嘘をついて、虚勢を張ってはいけない。You tell a lie and must
not make a false show of power.
類義:家には金の茶釜もあるよう。
西の空が曇ってくると、雨になる。
解釈:低気圧が西の方から近づいて雲ってくると、しばらくして雨が降る。
西も東も分からぬ。
解釈:方角がさっぱり分からないこと。地理に不案内の場合などに用いる。
活用⇒方角を自覚できない。I cannot notice a direction.
類義:I cannot notice a direction.
二豎(にじゅ)。Two sons.
解釈:病気、病魔。「豎」は子供のこと。病んだ中国晋(しん)の景公(け
いこう)が、病因である二人の豎子(じゅし)が良医を恐れて、肓(こう。心
臓の下)と膏(こう。胸の上部)とに隠れた夢を見た故事による。「病(やま
い)膏肓(こうこう)に入る」の語もこの故事から生じた。
類義:二豎の犯すところとなる。
二足三文(にそくさんもん)。It is three Mon by two sets.
解釈:沢山の量を安値で売ること。投げ売り捨て売りのこと。江戸時代初期、
金剛草履(こんごうぞうり)の値段が二足で三文であったことから。「二足」
は二束(たば)、又は二百の意。「金剛草履」とは、藁(わら)や藺(い)などを
編んで作った形の大きい丈夫な草履。
二足の草鞋(わらじ)を履く。It puts on two straw sandals.
解釈:両立しないような二種類の職業を一人で兼ねること。昔、博徒(ばく
と)が十手を預かり、博打(ばくち)を取り締まる捕吏(ほり)を兼ねたこと
から。
活用⇒一人で複数の職業に就いてはいけない。You must not have two or
more occupations.
類義:内股膏薬(うちまたごうやく)。
似たような物は烏。The thing that looks alike is a crow.
解釈:区別がしにくいほどよく似通っていることのたとえ。
似た者夫婦。They are the person married couple who looks like.
解釈:互いに性格や趣味が似通って夫婦、また、夫婦が互いに感化されて、
性質や好みが似てくることをいう。
類義:似合い似合いの釜の蓋。蓑の側へ笠が寄る。類は友を呼ぶ。破鍋に綴
蓋。
参考:Every Jack has his Jill.(ジャックには皆似合いのジルがいる)
似たるを友とす。The person who looks like himself is made
a friend.
解釈:性格や年齢の似た者同士が仲よくなるものだということ。
類義:似るを友。類は友。
日常茶飯事(にちじょうさはんじ)。Everyday experience.
解釈:ごく有り触れた物事のたとえ。
二張(にちょう)の弓を引く。I pull two bows.
解釈:敵を異にして、それぞれに弓を用意することから、武士が二心を抱く
ことのたとえ。また浮気心を持つことにもいう。
日計足らず、歳計余り有り。It loses every day, and it gains for
one year.
解釈:日々の計算では儲けがないようだが、一年を経過しての計算では利益
が出るということで、目先の利はないが、長い目で見れば得をすること。
類義:日勘定では足らぬが、月勘定では余る。
日光を見ない中(うち)は、結構と言うな。Do not say it is
excellent without seeing "Nikko".
解釈:日光東照宮の美しさを称えて言ったもの。
類義:ナポリを見てから死ね。
日進月歩(にっしんげっぽ)。Rapid progress. Steady progress.
解釈:日に月に絶え間なく、急速に進歩していくこと。科学技術、特に宇宙
科学やIT関係で用いられることが多い。
活用⇒世の中は、絶えず進歩する。The world always advances.
二八(にっぱち)の涙月。Tears month of February and August.
解釈:一年のうち二月と八月は最も商取引が振るわない月という意。また、
気候不順の激しいという意味にも用いる。
類義:二八月の冬枯れ夏枯れ。
似て非なる者。A different person though looked like.
解釈:外見はよく似ているが、中身は違う物のこと。また、理屈に合ってい
るようだが、実質は正しくないこと。
煮ても焼いても食えぬ。It is not eaten even if it boils or it
burns.
解釈:どんな手段をもってしても歯が立たない。したたか者で手に負えず、
もてあます様子。
類義:酢でも蒟蒻(こんにゃく)でも。煮ても焼いても噛まれぬ。
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