怪我(けが)の功名(こうみょう)。 解釈:過ちが思いがけなくよい結果を生むこと。何の気なしにしたことが、 偶然よい結果をもたらすこと。 類義:過ちの功名。怪我勝ち。 逆旅(げきりょ)。 解釈:旅館。宿屋。旅人を迎える所。 逆鱗(げきりん)。 解釈:天子の怒りに遭う。目上の人の怒りに遭うこと。竜の胸には喉(のど) の下に逆さに生えた鱗(うろこ)があり、もし人がこれに触れたら、必ず殺さ れるという故事による。 下戸(げこ)と化物はない。 解釈:この世の中には酒が嫌いで全く飲めない人はいないという意。 類義:下戸と鬼はなし。世にない物は下戸と化物、女子の医者、男の取り上 げ婆。 下戸の肴(さかな)荒らし。 解釈:酒の飲めない人は、膳の上の魚を食い荒らすのが普通である。 下戸の建てた蔵はない。 解釈:下戸は酒を飲まないが、かといってその酒代を貯蓄して財を築くとは 限らない。酒を飲まなくても一生を通じて顕著な利益はないことをいう。 類義:下戸の建てた蔵はなく、御神酒(おみき)上らぬ神はなし。酒蔵あれ ども餅蔵なし。酒と煙草はのんで通る。酒なくて何の己が桜かな。 下戸の手剛(てごわ)。 解釈:酒飲みは、酒を餌にすれば上手く誘惑できるが、下戸ではそれができ ない。つけ入りにくい相手であるという意。 反義:上戸(じょうご)の手弱。 下戸は上戸(じょうご)の被官(ひかん)。 解釈:酒宴の席では、下戸は上戸に頭が上らないことのたとえ。「被官」は 家来。 類義:下戸は上戸の草履(ぞうり)取り。 下種(げす)と鷹とに餌(え)を飼え。 解釈:思慮のない者や心の卑しい者には、鷹狩りの鷹に餌を与えるように、 心付けを与えて手なずけるのがよいという意。 類義:憎い者には餌を与えよ。 反義家:下種と鷹に餌を飼うな。 下種の後思案(あとじあん)。 解釈:考えの浅い者は、必要なときによい思案が浮かばず、事が済んでから 考えつくものであるという意。 類義:下種の後智恵。下種の智恵は後につく。こけの後思案。 参考:It is easy to be wise after the event.(事件の後で賢くなるのは 容易である) 下種の一寸、鈍間(のろま)の三寸、馬鹿の明けっ放し。 解釈:戸や障子を閉める際にも、下種は一寸、鈍間は三寸閉め残すという意。 戸や障子を閉め残す程度を見れば、人の品格が知れるということ。 類義:下種の三寸明け。下臈(げろう)の一寸戸。馬鹿の三寸、間抜けの一 寸。 下種の口に戸は立てられぬ。 解釈:心の卑しい者は相手のことなど考えずに勝手な噂をするのが常で、こ れは防ぎ切れないものであるという意。 類義:開いた口には戸は立たぬ。陰では御所内裏の事を言う。下臈(げろう) は口さがないもの。人の口に戸は立てられぬ。 下種の逆恨み(さかうらみ)。 解釈:心の卑しい者は、人が好意で忠告してくれても、かえってその人を恨 んだりするという意。 類義:心無しの人怨み。 下種の謗(そし)り食い。 解釈:卑しい者は、拙(まず)いと文句を言いながらも多食するものである という意。 下種は槌で使え。 解釈:心の卑しい者は、道理を説明するより、戒め励まして使わなければな らないという意。 類義:下種と鷹に餌(え)を飼うな。小僧と障子は張る程よい。 外題学問(げだいがくもん)。 解釈:書物の名ばかりに詳しく、その内容をよく知らないこと。聞きかじり の学問。 類義:聞き取り学問。本屋学問。耳学問。 下駄と焼味噌。 解釈:一見、形が似ているようだが、内容がまるで違う物のたとえ。「焼味 噌」は板に塗りつけて、遠火で焼いた味噌の料理で、その形がやや下駄に似て いる。 下駄も阿弥陀(あみだ)も同じ木の切れ。 解釈:身分の高い低いという違いはあっても、その本(もと)は同じである ということのたとえ。 類義:下駄も仏も同じ木の端(はし)。 下駄を預ける。 解釈:事を上手く処理してくれと、無理を承知で相手にその適切な処置を押 し付け、一任した形をとること。 けちん坊の柿の種、 解釈:けちな人は、たとえ用の無い柿の種ですら物惜しみするものであると いう意。 類義:しわん坊の柿の種。袖から手を出すも嫌い。出すことは目の中の塵で も嫌い。爪に火を灯す。握り拳に漆喰。 月下氷人(げっかひょうじん)。 解釈:仲人。男女の縁を取り持つ人。「月下老人」と「氷人」の二つの故事 による合成語。 血気盛りに神祟らず。 解釈:血気が盛んで勢いのよいときには、たとえ道を外れた行いをしても、 天運に恵まれ威勢のよいものである。 類義:人盛んにして、神祟らず。人盛んにして天に勝つ。 月旦評(げったんひょう)。 解釈:人物の批評。中国後漢の許劭(きょしょう)が従兄(いとこ)の許靖 (きょせい)と月旦(毎月の一日(ついたち))に郷里の人々の人物評をした 故事による。 欠点を含めて友を愛せ。 解釈:どんな人にも短所はあるもので、友人の欠点をとやかく言ってはいけ ない。 煙る座敷には居られるが、睨(にら)む座敷には居られぬ。 解釈:煙で煙たい席にいることはできても、細かい一々の動作を監視されて いるような所にはいることはできない。 類義:煙の座敷には居れても、いびりの座敷には居れん。 反義:憎まれる所にには居られても、煙い所には居られぬ。 外面如菩薩(げめんにょぼさつ)内心如夜叉(ないしんにょやしゃ)。 解釈:容貌は柔和で美しく見えるが、その心の中は険悪で恐ろしい者という 意。 類義:顔に似ぬ心。外面似菩薩、内心如夜叉。 げらげら笑いのどん腹(ばら)立て。 解釈:感情の起伏が激しい人のこと。 類義:げらげら笑いの仏頂面(ぶっちょうづら)。じゃらじゃら笑いの八つ 面ふくらし。 螻蛄才(けらざい)。 解釈:螻蛄(けら)のように、様々な芸は持っていても、一つも巧みなもの がないこと。螻蛄は、飛ぶ、攀じ登る、泳ぐ、走る、穴を掘るという五つ芸を 持つが、どれ一つ巧みでない。 類義:石臼芸。螻蛄芸。ゴソの技。多芸は無芸。 螻蛄(けら)の水渡り。 解釈:初めこそ熱心だが、途中で厭になって止めてしまう人のこと。 類義:おけらの水渡り。 毛を吹いて疵(きず)を求む。 解釈:毛を吹き分けて隠れた疵を探し出すように、他人の後ろ暗い事を暴い て追求すること。また他人の欠点を指摘して、かえって自分の欠点を暴露する こと。 類義:垢(あか)を洗って、痕(あと)を求む。痒(かゆ)くない所を掻く。 藪を突(つつ)いて蛇を出す。 毛を見て馬を相す(そうす)。 解釈:表面だけの浅薄な判断。外見だけを見て、事物や人の価値を判断する こと。 犬猿の仲。 解釈:仲のよくない間柄のたとえ。 類義:犬と猫。犬猿もただならぬ。 喧嘩過ぎての空威張り。 解釈:喧嘩のときは怖がって引っ込んでいたのに、それが済んで心配のなく なった頃に、虚勢を張ること。 類義:喧嘩過ぎての向こう鉢巻。盗人逃げての向こう鉢巻。 喧嘩過ぎての棒乳切(ぼうちぎり)。 解釈:喧嘩しているときには棒切れの必要があるが、終わった後では役に立 たないことから、時機に遅れて役に立たなくなった物事のたとえ。 類義:諍(いさか)い果てての乳切木(ちぎりぎ)。火事後の火の用心。盗 られた後の戸の締まり。 喧嘩と火事は大きい程よい。 解釈:野次馬の気持を表した言葉。 類義:喧嘩と牡丹餅(ぼたもち)はでかい程よい。 喧嘩に被る笠はない。 解釈:仕掛けられた喧嘩は、避ける方法がないという意。 類義:喧嘩は降り物。 懸河(けんが)の弁。 解釈:すらすらと淀みの無い弁舌のこと。「懸河」は急流。 喧嘩は降り物。 類義:喧嘩に被る笠はない。 喧嘩両成敗(けんかりょうせいばい)。 解釈:喧嘩をした者は、どちらも悪いのだから、両方に罪があるとして、双 方を罰すること。江戸時代の仕来たり。 牽強付会(けんきょうふかい)。 解釈:道理に合わないことを、自分の都合のよいよう無理矢理に理由をこじ つけること。詭弁(きべん)、附会の説。 献芹(けんきん)。 解釈:人に物を贈るときの謙譲語。また、君主に献上すること、忠義を尽く すことをへりくだっていう。 拳拳服膺(けんけんふくよう)。 解釈:常に心に抱いて忘れず守ること。「拳拳」は両手で捧げ持つこと。 「服膺」は胸に付けること。 健康は富に優る。 解釈:財産よりも健康が一番である。 類義:健康は大いなる財産。 参考:Haelth is better than wealth.の訳語。 乾坤一擲(けんこんいってき)。 解釈:成否を賭けて、伸(の)るか反(そ)るかの大勝負をすること。「乾 坤」は天と地。 類義:一擲乾坤を賭す(とす)。 賢者は中道(ちゅうどう)を取る。 解釈:教養のある賢い人は、決して極端過激な事はせず、中正な道を行くと いう意。 賢者は長い耳と短い舌を持つ。 解釈:賢い人は、人の言うことをよく聞き、自分の発言は控え目にする。 類義:賢者は九聞いて一しゃべる。 献上の鴨(かも)のよう。 解釈:着物が汚れているのに、足袋や履物ばかりが新しくて白いのを嘲(あ ざけ)っていう言葉。江戸時代、将軍へ鴨を献上するときに、白紙でその足を 巻き包んだ習慣から。 賢人は危うきを見ず。 解釈:賢明な人は、危ない事や危険な所に近づかず、難を未然に防ぐもので ある。 類義:危ない事は怪我のうち。君子危うきに近寄らず。 健全なる精神は、健全なる身体に宿る。 解釈:精神と身体は一体であり、身体が健康であれば、自ずから精神も健康 的であるという意。ローマの詩人デキムス・ユニウス・ユウェナリスの句。 参考:A sound mind in a sound body.の訳語。 健啖(けんたん)。 解釈:盛んに食べること。沢山の食物を食べること。「啖」は食べること。 軒輊(けんち)。 解釈:「軒」は前方が高く上っている車。「輊」は前方が低く下がっている 車。優劣又は、高低のこと。 捲土重来(けんどちょうらい)。 解釈:一度敗れたり失敗した者が、勢いを盛り返して激しく攻めて来ること。 「巻土重来(けんどじゅうらい)」とも。「捲土」は土煙を巻き上げること。 堅白同異(けんぱくどうい)の弁。 解釈:詭弁(きべん)。こじつけ。堅くて白い石は、見て白いことは分かる が、堅いかどうかは分からない。また手に触れただけでは堅いことは分かるが、 白いことは分からない。よって白い石と堅い石は同一のものではないと説いた 中国戦国時代、趙(ちょう)の公孫龍(こうそんりゅう)の論法。 類義:白馬は馬にあらず。 犬馬(けんば)の心。 解釈:主君に忠義を尽くし、親の恩に報いようとする気持を謙(へりくだ) っていう言葉。 犬馬の歯(よわい)。 解釈:自分の年齢を謙(へりくだ)っていう言葉。犬や馬のように無駄に年 をとるという意。 類義:犬馬の年。馬齢(ばれい)を加える。 犬馬の労。 解釈:人のために力を尽くして奔走することを謙(へりくだ)っていう言葉。 言は身の文(あや)。 解釈:言葉はその人の人格や品性を表すから、慎重に話さなければならない という意。 類義:人は詞(ことば)を以て試み、金は火を以て試みる。 剣を使う者は、剣で死ぬ。 解釈:剣の道にある者は、常に剣を用いて敵を倒すことを習うが、また相手 からも剣で切られる運命にある。 類義:人を呪えば、穴二つ。 |