GLN町井正路訳「ファウスト」
「ファウスト」解題
一、物語としての「ファウスト」
欧州には往古(むかし)から所謂「ファウスト物語」なるものがあって、 裨史に、或は口碑に伝説せられ、為めに諸大家の作物にも少からざる影響を 及ぼしたものであった。で、其の伝説が時代の推移に伴って、如何に変化し、 如何に発展したか。其の経過の一班を此の巻頭に叙述するのも、強ち無用の 業ではあるまいと思うので、それは勿論此の「ファウスト」の読者に対して 参考に資すると共に、一に我が大詩人ゲーテが、其の偉大なる思想を構成する に到った階梯を明かならしむるが為めである。
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