07 哲学・思想序曲[現代思想のキーパースン]
参考:自由国民社発行「現代用語の基礎知識」
△フーコー Michel Foucault 1926〜1984
フランスの思想家。「人間の死」を宣告し、近代思想に対する徹底的な批判を試みま
した。伝統的な理性中心の考え方に対して、非理性・狂気の役割を認め、権力機構の構
造に対する分析・批判を行いました。
△ラカン Jacques Lacan 1901〜1981
フランスの精神学者。「フロイトに帰れ」をモットーにして、フロイトの厳密な読み
直しを行い、有名な鏡像段階理論を始めとして、同時代の精神医学・哲学に大きな影響
を与えました。
△レヴィ=ストロース Claude Levi-Strauss 1908〜
フランスの文化人類学者。構造主義の中心的存在。ブラジルの先住民族の調査、アメ
リカ・インディアンの神話の分析などを通して、社会の「構造」が交換を軸にしてなさ
れることを立証しました。
△ソシュール Eerdinand de Saussure 1857〜1913
スイスの言語学者。死後に刊行された講義のノートである『一般言語学講義』によっ
て20世紀の思想にはかりきれないほど大きな影響を与えました。記号論も彼が予測した
ものです。現在では、言語学者としてのみならず、哲学者としても評価されています。
△フッサール Edmund Husserl 1859〜1938
ドイツの哲学者。現象学の創始者として知られ、第二次世界大戦後の実存主義哲学に
影響を与えました。本質直観、志向性などのフッサールの概念は、哲学以外の領域でも
屡々使われています。
△ドゥルーズ Gilles Deleuze 1925〜1995
フランスの哲学者。西欧の伝統的な権力中心主義、ロゴス重視の思想を批判し、横に
繋がって行くリゾームやアジャンスマンと云った概念を提示しました。精神医学者のガ
タリとの共著『アンチ・オイディプス』『千のプラード』によっても影響力が大きい。
△ガタリ Felix Guattari 1930〜1992
フランスの精神医学者。フランスの思想家としては稀なケースですが、アカデミズム
に属さず、精神病院で実践的な活動もしていました。ドゥルーズとともに、主体・表象
を中心とする伝統的な西欧思想を徹底的に批判した。
△デリダ Jacques Derrida 1930〜
フランスの哲学者。「脱構築」の概念によって、西欧思想の破壊と再建をもくろむ。
フランスにおいてだけではなく、アメリカの現代思想、芸術論にも影響を与えています。
△バルト Roland Barthes 1915〜1980
フランスの思想家、記号学者。ソシュールの言語学を基礎にして、現代の記号学を築
きました。体系的な思想家ではないが、現代のあらゆる事象を記号として捉える見方が、
極めて魅力的な文体で書かれています。
△ベイトソン Gregory Bateson 1904〜1980
イギリス出身の文化人類学者で、主としてアメリカで活躍しました。ダブル・バイン
ド理論により最もよく知られていますが、イルカの言語の研究、バリ島の人たちの行動
パターンの研究など、多方面での業績があります。
△ゴフマン Erving Goffman 1922〜
アメリカの社会学者。人間の社会生活の中での「相互作用」の重要性を強調し、また、
日常生活の中にある、儀礼的な要素の役割の重要性についても独自の見解を示しました。
△モラン Edgar Morin 1921〜
フランスの社会学者。フルターニュの漁村でのフィールドワークのほか、噂の研究、
アメリカ映画の分析など、多方面で活躍しています。自然科学の成果を社会学に採り入
れ、現代の危機を分析しています。
△ボードリヤール Jean Baudrillard 1929〜
フランスの社会学者。日常的な「物」の分析から始められたボードリヤールの同時代
についての考察は、アメリカのディズニーランドや湾岸戦争などにも及んでいます。シ
ミュレーションの概念を提示しました。特にアメリカで注目されています。
△クライン Melanie Klein 1882〜1960
オーストリア出身のイギリスの精神医学者。特に子供の精神分析の領域で優れた仕事
をしました。また、ドゥルーズ、ガタリなどに影響を与えた「部分対象」の概念もクラ
インが考えたものです。
△ブルデュー Pierre Bourdieu 1930〜
フランスの社会学者。スター的な存在がいなくなってしまったフランス思想界で、学
生たちに最も信頼されている学者の一人です。現代フランスの社会階層論などで優れた
業績を挙げています。
△バフチン Mikhail Mikhailovich Bakhtin 1895〜1975
ロシアの文芸理論家、思想家。スターリン体制下での思想的弾圧に遭いながら、言語
理論、文学理論の領域で独創的な仕事を残し、現代思想に大きな影響を与えました。最
近、特にアメリカでの再評価が進んでいます。
△ベンヤミン Walter Benjamin 1892〜1940
ドイツの思想家。ユダヤ人であったため、ナチスの政権樹立とともにフランスに亡命
しました。ベンヤミンは、映画・写真などの映像の重要性を早くから認識し、また言語
哲学、都市論でも独創的な著作を残しています。
△ジジェク Slavoj Zizek 1949〜
スロベニア(旧ユーゴスラビア)出身の思想家。特にラカンの難解な思想をヒッチコ
ックの映画や、推理小説などの解釈と結び付けて論じるなど、特異な発想によって、最
近注目されています。
△ヴィリリオ Paul Virilio 1932〜
フランスの思想家。『トーチカの考古学』『戦争と映画』などの著作があり、戦争と
人間の関係を考える発想がその出発点にあります。また現代的な現象を「速度」と云う
キーワードによって解明しようとしています。
△スチュアート・ホール Stuart Hall 1932〜
ジャマイカ出身でイギリスで活躍しています。カルチュラル・スタディーズの代表的
存在。教育者としても優れていると云われます。
△エドワード・サイード Edward Said 1935〜
パレスチナ出身で、アメリカで活躍している批評家。1978年に刊行した『オリエンタ
リズム』によって20世紀後半の思想・文化批評に非常に大きな影響を与えました。サイ
ードの考えの中心には、西欧中心の伝統的な思考の徹底的な批判があり、それは中東の
政治情勢についての欧米のジャーナリズム批判『イスラム報道』にも見ることが出来ま
す。
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