61b 歴代天皇
 
 63 冷泉レイゼイ天皇
 
 平安中期の天皇。村上天皇の第二皇子。名は憲平ノリヒラ。在位中、安和アンナの変が起る。
(在位967〜969)( 950〜1011)
 安和アンナ 皇紀1628 AD 968
 
〔神皇正統記〕 第六十三代、冷泉院。諱は憲平ノリヒラ、村上第二の子。御母中宮藤原安
子ヤスコ、右大臣師輔モロスケの女也。丁卯年即位、戊辰に改元。この天皇邪気おはしければ、
即位の時大極殿ダイゴクデンに出給こともたやすかるまじかりけるにや、紫宸殿シシンデンにて
其礼ありき。二年ばかりして譲国。六十三歳おはしましき。
 
 此御門より天皇の号を申さず。又宇多よの後、諡オクリナをたてまつらず。遺詔ユイゼウあり
て国忌コクキ・山稜ををかれざることは君父クンフのかしこき道なれど、尊号をとゞめらるゝこ
とは臣子の義にあらず。神武以来の御号も皆後代の定なり。持統・元明より以来避位或ハ
出家の君も諡をたてまつる。天皇とのみこそ申めれ。中古の先賢の議なれども心をえぬ
ことに侍なり。
 
 64 円融エンユウ天皇
 
 平安中期の天皇。村上天皇の皇子。名は守平。
(在位969〜984)(959〜991)
 天禄テンロク 皇紀1630 AD 970
 天延テンエン 皇紀1633 AD 973
 貞元ジョウゲン 皇紀1636 AD 976
 天元テンゲン 皇紀1638 AD 978
 永観エイカン 皇紀1643 AD 983
 
〔神皇正統記〕 第六十四代、第三十五世、円融院。諱は守平モリヒラ、村上第五の子。冷
泉同母の弟也。己巳年即位、庚寅に改元。
 
 天下を治給こと十五年。禅譲、尊号つねの如し。翌ツギノ年の程にや御出家。永延の比、
寛平の例をおふて、東寺にて潅頂せさせ給。御師はすなはち寛平の御孫弟子寛朝クワンデウ
僧正なり。三十三歳おましましき。
 
 65 花山カザン天皇
 
 平安中期の天皇。冷泉天皇の第一皇子。名は師貞モロサダ。中宮の死を悲しみ、藤原兼家
・道兼にあざむかれて花山寺に入り出家。拾遺和歌集はその撰という。
(在位984〜986)(968〜1008)
 寛和カンナ 皇紀1645 AD 985
 
〔神皇正統記〕 第六十五代、花山院。諱は師貞モロサダ、冷泉第一の子。御母皇后藤原懐
子カネコ、摂政太政大臣伊尹コレマサの女也。甲申年即位、乙酉に改元。
 
 天下を治給こと二年ありて、俄に発心ホッシンして花山寺クワザンジにて出家し給。弘徽殿
コキデンの女御ニョウゴ(太政大臣為光タメミツの女也)かくれて悲歎カナシミナゲキましけるおりをえ
て、粟田関白道兼ミチカネのおとゞのいまだ蔵人弁クラウドノベンときこえし比にぞ、そゝのかし
申てけるとぞ。山々をめぐりて修行せさせまししが、後には都にかへりてすませ給けり。
是も御邪気ありとぞ申ける。四十一歳おましましき。
[次へ進む] [バック]