04d 中国名著解題1
 
小学ショウガク
 宋の朱子の門人劉子澄リユウシチョウがその指導を受けて編述したもので,六巻から成ってい
 る。内容は始めに朱子の題辞を載せ,内編と外編の二門に分けてある。内編は立教,
 明倫,敬身,稽古の四目にし,外編は嘉言,善行の二目に分けて,礼儀,修身,道徳
 の教え,忠臣孝子の事績などを集め,学童の修身の基準を示している。日本では鎌倉
 時代以後,特に江戸時代,必須の学問書とされた。
 
貞観政要ジョウガンセイヨウ
 唐の呉兢が撰した書で,十巻から成っている。唐の太宗と群臣の問答を基にして政教
 の要訣を示したもので,日本でも源実朝・北条時頼・徳川家康など歴代の為政者が購
 読信奉した。
 
初学記ショガクキ
 唐の叙堅の撰した書で,三十巻から成っている。これは文章の精粋を集め,天,歳時,
 地,州郡,帝天等の二十三部に分類してある。
 百科辞典のようなもので,初歩の勉学に資したものである。他の類書に比べて広さは
 劣るが,その詳細な点は優れている。
 
尚書ショウショ
 「書経」の旧名。宋の時代以前は「尚書」と呼ばれていた。
 
書経ショキョウ
 虞・夏・殷・周四代の歴史について,孔子が手を加えて整理したもの。内容は四書,
 つまり虞書,夏書,商書,周書を始めとして,四要,六体,十例等の体裁になってい
 る。元百編であったが,秦の焚書などで散佚し,秦の博士伏勝がこのうち二十八編を
 漢の文帝に奉ったのを「今文尚書」と云い,その後武帝の時,孔子の旧宅の壁の中か
 ら発見されたものを孔安国が整理して十六編とし,これを「古文尚書」と称した。こ
 の他を合わせて新古とも五十八編になっている。五経(詩・書・易・礼・春秋)の一
 つに加えられてから「書経」と云われるようになった。今文と古文の二種がある。儒
 教思想の淵源は,本書より発すると云われ,同時に中国古代史の出発も本書にあると
 云われている。
 
蜀志
 晋の陳寿の撰した有名な「三国志」六十五巻のうち,蜀の国の歴史を書いたものであ
 る。
 
書言故事
 宋の胡継宗の撰した十二巻の書である。故事・成語を部門別に分けて,その出典を説
 いたものである。
 
新語
 前漢の陸賈の撰した二巻の書である。「陸賈新書」とも云う。身を修めることを基本
 として王道を尊び,覇道を排除している。
 
晋書シンジョ
 唐の太宗の命により房玄齢,李玄寿などが撰した書で,官撰による史書の始めである。
 百三十巻から成っており,十紀,二十志,七十列伝,三十載記(五胡十六国のことを
 記す)に分かれており,西晋四代五十四年間,東晋十一代百二年間における歴史書で
 ある。
 
新序シンジョ
 漢の劉向の撰した書で,十巻から成っている。春秋時代より漢初に至る事跡,逸話を
 集録したもので,人心の教化に役立てようと企画したものである。
 
神仙伝シンセンデン
 晋の葛洪の撰した書で,十巻から成っている。これは弟子の勝升ショウショウが仙人の有無
 を質問したのに対して述作したもので,九十二人の仙人の伝記を諸書より引用して,
 その存在を証明している。
 
随園詩話ズイエンシワ
 清の袁枚の撰した書で,十六巻,補遺十巻から成っている。詩に関する論説記事を,
 筆の赴くままに記したもので,詩学の参考書として珍重されている。
 
水滸伝スイコデン
 元代の長編小説である。これは中国の四代奇書(三国志演義エンギ,西遊記,金瓶梅キン
 ベンバイ,水滸伝)の一つ。元の施耐菴シタイアンの著と云われているが未詳である。この内
 容は,宋の徽宋キソウの世に起こった群盗の事績を述べたもので,宋江以下三十六人の豪
 傑は次第に離散し,遂に宋江等は毒殺されると云う内容で,その趣向の優れたことは
 云うまでもなく,その文章も雄渾ユウコン壮絶である。全編百八十章より成る大河小説で
 ある。
 
出師表
 「三国志」で有名な蜀の軍師諸葛孔明が出陣に際して蜀帝に奉った上奏文で,前後二
 編がある。
 
隋書ズイショ
 唐の魏徴などが勅を奉じて撰した書で,八十五巻から成っている。帝紀五巻,列伝五
 十巻,ほかに礼儀,音楽,律暦,天文,五行,食貨,刑法,百官,地理,経籍の十部
 門に分けて記述されている。これは元「五代史志」と云って別冊の書であったが,後
 人はこれを隋書に編入したものであると云う。
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