0401b 中国名著解題2
 
法苑珠林ホウオンジュリン
 唐の釈道世の編纂した書で,百二十巻から成っている。これは仏教の故事古典を分類
 して収録したもので,仏典の訓話を知る好個の手引書である。
 
宝鑑
 元の夏文彦が編纂した五巻の絵図である。
 
牟子ボウシ
 「牟子理論」「理惑論」とも云う。後漢の牟融の編纂した一巻の修養書である。
 
宝積ホウシャク経
 唐の菩提流支の訳で,百二十巻の仏書である。大乗仏教の教典四十九部を集大成した
 ものである。
 
抱朴子ホウボクシ
 晋の葛洪カッコウの編纂した書で,八巻から成っている。洪の字は稚川,抱朴子と号す。
 神仏道術を好んでその秘奥を得た。羅浮山に入って七年間修行した。その内編は神仙,
 修練,符録の諸事を論じ,純然たる道家の言である。外編は政治・人事を批判した評
 論である。
 
北斉書
 二十四史の一つである。唐の李百薬の編纂した書で,五十巻から成っている。北斉一
 代の史実を記録したものである。
 
北史
 二十四史の一つである。唐の李延寿が編纂した史書で,百巻から成っている。北朝の
 魏・北斉・周・隋の四世二百四十二年間の編年史で,十二本紀,八十八列伝に分かれ
 ている。本書は「南史」に比べて詳細に亘っている。それには,周には文苑伝を補い,
 斉には列女伝を補っている。
 
墨子ボクシ
 周の墨羽(羽冠に隹)の編纂した書と云われるが,おそらくは門人達が師の説を集録
 したものとされている。これは,博愛を説き,特に宿命を否定して勤倹を説いている。
 
北夢瑣言ホクムサゲン
 宋の孫光憲の編纂した書で,二十巻から成っている。主に遺文・瑣語を記してある。
 
法華経
 姚秦の鳩摩羅汁の訳した仏書で,八巻から成っている。これは大乗仏教の代表的な経
 典で,人間と成仏の一致を説いたものである。
 
明名臣言行録ミンメイシンゲンコウロク
 明の徐開任の編纂した書で,九十五巻から成っている。この書は朱子の「宋明臣言行
 録」に倣って作ったものである。しかしその趣旨とするところは品行にあって,官位
 の上下を論じていない。
 
蒙求モウギュウ
 唐の李瀚リカンの編纂した書で,三巻から成っている。経書,歴史の中から古人の事績の
 相似したものを採り,これを両方対応させて,四字句の韻語で記し,記誦に便利なよ
 うにしたものである。書名は易の蒙卦の「童蒙我に求む」の語から採ったものと云う。
 初学者の教科書として盛んに読まれたものである。
 
孟子モウシ
 四書の一つである。戦国時代の孟子(軻カ)の編纂したもので,七編,後に各編を上下
 に分け,十四編にしたものである。諸国を遊説した頃の問答を,門人達と討論批判し
 て書いたもので,性善説と仁義王道を唱えているが,孔子の主張より深く展開したと
 考えられる。民主主義の先駆と云える。
 
毛詩伝疏
 清の江蘇長州の人,陳奐の撰した書である。「毛詩」は「詩経」の原名で,漢の時代,
 魯の人毛亨モウコウが撰したもので「毛公撰の詩経」,略して「毛詩」と云う。
 
文選モンゼン
 梁の昭明太子蕭統の編纂した書で,三十巻から成っている。これは上古(周秦)から
 梁代に至るまでの優れた詩や文を集めたものである。唐の李善がこれに注釈を加えた
 が,一字一句をゆるがせにせぬ精密とその分量の多いことで,本書の価値を高らしめ
 た。唐宋以来,官吏登用試験を受ける者の参考書として重要視された。わが国平安朝
 文学に影響を与えた。
[次へ進んで下さい]