32鹿角三十三番観音霊場
明和四年(1767)鹿角三十三番観音霊場
第一番 長福寺
六つの欲五つの塵も今はなく 旅立ちそむる花の輪の里
第二番 円徳寺
円かなるかげのうつらふ池の水 空を離れぬ月の徳かな
第三番 明蓮寺 花輪山(明治12年廃寺)
昼となく夜をも照ら月日影 廻り連ねて明らかな寺
第四番 本空庵 長年寺末
本空しと悟ればよろづありのまま まことの姿一つもなし
第五番 頓悟庵(桃ノ木稲荷大明神) 長年寺末
すすむ善しりぞく悪の法なれば 頓て悟りの道に入りなん
第六番 長年寺
よそならぬ都を知らで迷ひてし 長が年つきぬ九重のそら
第七番 恩徳寺
海よりも深き誓ひの恩徳を いつさて報ふことの白波
第八番 大慈軒(大慈庵、尾去沢笹小屋) 長泉寺末 寛延二年(1749)創建。
身を捨てて苦に代らんと誓う慈悲 しりては余る涙なりけり
第九番 法屋軒(薬師庵、尾去沢獅子沢) 円徳寺末 享保七年十月創建(大正鉱滓ダムのため大慈軒に移転)。
浅からぬ結ぶ御縁の法の道 またたのもしく嬉しかりけり
第十番 観音院(観音庵、尾去沢田郡) 円徳寺末 寛文九年四月創建。
朝日出て夕日かがやくたから山 如意満足の慈悲ぞつくせす
第十一番 独楽院(獨樂庵、尾去沢赤沢) 円徳寺末 元文四年(1739)七月創建(円通寺に合同)。
難波江の良し悪し事も見ずきかず 独り楽しき巡礼の旅
第十二番 長泉寺
涌き出る長き流れの御寺こそ 源深きしるしなるらん
第十三番 宝珠寺
衣なる内の珠をば忘れつつ よそに求めしことのはかなき
第十四番 龍興寺
ありがたや大悲の誓い深きゆえ 龍もおどりてそらに生きるる
第十五番 観音堂(谷内神明社・天照皇御祖神社)
山の色谷の草木もみなほとけ あらしやながれ法の音声
第十六番 延命寺
とる太刀も折れて命の恙なく 救うちかひや観音の慈悲
第十七番 奇徳寺(小豆沢喜徳寺・大日堂)
はるばると歩みを運ぶ小豆沢 大日堂の夕暮れの鐘
第十八番 吉祥院
慾もなく得も思はぬ心ゆえ 求めずとてもよろず吉祥
第十九番 大徳寺
大徳は塵もえらばずうけ入れて もらさで救う海の広さよ
第二十番 観音寺(大里北の林、観音堂・住吉寺)
大小は人にありてもありもせめ 君住めばこそここも大里
第二十一番 萬松寺
いにしえも今もかわらぬ法の屋 松のときわの万代までも
第二十二番 清月堂(柴内観音堂)
雲もなく霞みもはれてたのもしや 心にかかることのはもなし
第二十三番 円福寺
ここに来て御寺も清き円福の 池のはつすや月に打つらう
第二十四番 隆昌寺
小枝さす栄え栄ゆる楊柳の 大悲のちかひたのもしきかな
第二十五番 大円寺
欠けもせず余りもせずに円かなる 広き世界に一つ輪の月
第二十六番 芦名寺 法華山(芦名沢観音・葦名神社)
よしといひあしといふとも難波江の まことのすがた法の花山
第二十七番 鏡得寺
おのれなく写す鏡の徳なれや ものつくる物の姿はへず
第二十八番 萬養寺
来て見れば安く養ふ国ぞここ 五万五万ともとむ悲しさ
第二十九番 仁叟寺
あな尊ふと慈悲忍辱の叟寺 身をさまざまにかゆる観音
第三十番 広増寺 月山
光ります花蔵世界もよそならぬ 山峰かけて花の盛りよ
第三十一番 善徳寺
雪あられ氷も名のみもとの水 真如の徳にます減りもなく
第三十二番 誓願寺
逆縁ももらさで救ふ願なれば ゑんある者はいふはものかは
第三十三番 安楽院(沢尻)
楽しさやおしや憎やの念もなく ただ一筋に心安すけれ
[碑文]