22a 神社における参拝の作法
 
〈神社(境内)に入るときは〉
 
 神社にお参りするときは、まず入口の鳥居トリイの処で衣服を整え、一揖イチユウ(会釈エシャク
)をし、心を引き締めて、境内ケイダイに入りましょう。
 このことは、他人の家へ入るとき、「ご免下さい」「お邪魔します」などと挨拶する
のが常識であると同様に、神様の鎮まります神社(境内)へ、何の御挨拶を申し上げず
に、ズカズカと入ることはまことに失礼なことなのです。
 
〈手水テミズの作法〉
 
 私共の祖先は、神社にお参りをし、あるいは「お祭り」を奉仕して、後神威ゴシンイを戴
くためには、先ず自ら「心身の清浄」に務めることを必須の条件と考えていました。
 私共も参拝の前には、作法の第一番目とも云うべき「手水」の励行をいたしましょう。
 先ず「手水舎テミズシャ」の前に立ち、水盤に向かい、「心身の浄化」のために手水を行
うことが最も大切です。
 
@右手で柄杓ヒシャクをとります。
A水盤の水を汲み上げ、左手に掛けて洗います。
B柄杓を左手に持ち替え、水を汲み上げて右手を洗います。
C再び会釈を右手に持ち替えて、左の掌テノヒラに水を受けて溜タめます。
D左手で受けた水で口をすすぎます。静かにすすぎ終わって、水をもう一度左手に流し
ます。なお、口を直接柄杓に付けないようにしましょう。
E最後に柄杓を立てて持ち、残っている水を流しながら、柄の部分を洗うように心懸け、
柄杓を伏せて基の位置に戻します。
 なお、あらかじめ手を拭く懐紙カイシ(手ぬぐいなど)は、端を摘む程度で取れるように
しておくとよいでしょう。
 
△巫女ミコなどが手水の奉仕をして下されるときの作法
(流れている清水シミズの場合もこれに準じます)
@清水を両手に受けて、手を清めます。
Aもう一度清水を両手に受けて、口をすすぎます。
B次にまた両手に水を受けて、再び手を清めます。
C拭紙ヌグイガミを貰って先ず口を拭ヌグい、次に手を拭フきます。
 
〈拝礼の作法〉
 
△拝ハイ
 拝もまた、今日では敬礼作法の一つとして行われていますが、普段の生活の中でも、
感動や感謝の表現として、無意識のうちに行われています。
 神前において行う拝や拍手も、この様な作法の習慣の延長と考えればよいでしょう。
なお今日、神社における参拝方法は、「二拝二拍手一拝」を基本としていますが、神社
によっては特殊な拝礼作法を行っているところもあります。
 また、参拝の前には修祓シュバツを受けます。修祓は、神様の前に進むときに身を清める
お祓ハラいのことです。やや深く頭を下げて、静かにお祓いを受けましょう。
 
△拍手
 拍手は、柏カシワのような手を揃えて打ち合わせるので、柏手カシワデを打つとも言われて
います。今日でも嬉しいときや、讃えるときなどに拍手をします。神前において打つ拍
手も、神様に誠の心を捧げつつ御陰を戴いていることに心から感謝して打つもので、神
社参拝において、心を一つにして祈り、かつ感謝する意を表したものです。
 
△二拝二拍手一拝の仕方
[座礼ザレイの場合]
@先ず、神前に進み、正座をして姿勢を正します。
A太股フトモモの脇(外側)を指先でなぞるようにして両手を膝ヒザの脇に添え、丁寧に着き
ます。
B背中を平らにし、腰を直角(90度)に折り、両手を膝ヒザの前に揃えて着き、拝をしま
す。この拝を二度行います(二拝)。
C次に胸の高さで両手を合わせて祈念キネンをこめます。つづいて右手(指先)を少し下方
手前にずらし、肩幅程度に両手を水平に開いて、二度打ち合わせます(二拍手)。その
後両手の指先を揃えます。
D最後にもう一度拝をします(一拝)。
 
[立礼リュウレイ]
@胡床コショウなどに仮に腰掛け、心を静かにして、参拝の時を待ちます。
A先ず、神前に進み、姿勢を正します。
B背中を平らにし、腰を直角(90度)に折り、拝をします。この拝を二度行います(二
拝)。
C次に胸の高さで両手を合わせて祈念をこめます。つづいて右手(指先)を少し下方手
前にずらし、肩幅程度に両手を水平に開いて、二度打ち合わせます(二拍手)。その後
両手の指先を揃えます。
D最後にもう一度拝をします(一拝)。
 
〈玉串拝礼の作法〉
 
 玉串タマグシを神様へ捧げるときは、真心をこめて丁寧に捧げましょう。
 
 神社において祈願するとき、またいろいろなお祭りを行うときに、神様に玉串と云う
榊サカキの枝を捧げます。玉串は、瑞々ミズミズしい榊の枝に木綿ユウと云われる麻や、紙垂
シデと云われる紙を取り付けたものです。
 私共の祖先は遠い昔から、榊に神々を招き、また神前に榊を供えてお祭りを行ってき
ました。神話にも見えるこうした神祭りの心は、玉串を捧げると云う作法にも受け継が
れています。
 神前に進み、玉串を通して自らの誠の心を捧げると共に、神様の御蔭を戴くのです。
なお、榊は寒い北日本では育ちませんので、代わりにヒサカキやヒバなどを用いていま
す。
 
@榊の枝で作られる玉串の長さは、数十pです。それを、右手でやや元(枝の元)の方
を上からにぎり、左手でやや先(枝の先)の方を下から支え、胸の高さに、やや左高に、
少し肘ヒジを張って持ちます。
A神前に進んで正座をしてから、玉串を右回り(時計回り)に回して先を前方、元を手
前(つまり玉串を90度回転)にします。
B先端の方に添えてある左手を手前に下げて両手で丁寧に持ち、祈念をこめます。
C次に玉串を同様に右回りに回し、右手を離して玉串の中程を下から支えます。玉串の
元の方を神前に向くまで回し(180度回転)、左手を右手下に添えて丁寧に持ちます。
Dやや進んで、玉串の元を神前に向けて案アン(机)の上に置きます。
Eやや下がり、二拝二拍手一拝の作法でお参り(拝礼)します。
(以上、座礼も立礼も同じ)
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