27 大神宮(伊勢神宮)を拝ヲロガみ詠める歌
参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
△大神宮
神風やいすゞの河の宮柱 いくちよすめとたてはじめけん
(新古今和歌集 十九神祇 皇太后宮大夫俊成)
ちはやぶるいすゞの宮のますかゞみ くもらぬ御代をてらすとぞきく
(夫木和歌抄 三十四神祇 大納言雅忠卿)
神風やいすゞの河のいそのみや とこ世の波の音ぞのどけき
(続古今和歌集 七神祇 皇后宮大夫師継)
神風や朝日の宮のみやうつし かげのどかなるよにこそありけれ
(玉葉和歌集 二十神祇 鎌倉右大臣)
神風や玉ぐしの葉をとりかざし うちとの宮に君をこそいのれ
(新古今和歌集 十九神祇 俊恵法師)
神風や内外の宮の宮柱 千たびや君が御代にたつべき
(続拾遺和歌集 二十神祇 衣笠内大臣)
神風やふたつの宮の宮柱 ひとつこゝろに世をまもるらし
(新続古今和歌集 二十神祇 達智門院)
△殿舎
かたそぎの千木は内外にかはれども ちかひはおなじいせの神風
(風雅和歌集 十九神祇 度会朝棟)
あまてらす月のひかりは神垣や ひくしめ縄のうちとゝもなし
(玉葉和歌集 二十神祇)
さかきもてやつの石壷ふみならし 君をぞいのるうぢの宮人
(新後撰和歌集 十神祇 荒木田延成)
君が代は神楽サザレ石壷の内にして 朝夕祈る数積るらん
(詠大神宮二所神祇百首和歌)
△別宮摂社(月読宮・伊佐奈岐宮)
月よみの神してらさばあだ雲の かゝる浮世もはれざらめやは
(千載和歌集 二十神祇 大中臣為定朝臣)
さやかなるわしの高ねの雲ゐより 影やはらぐる月よみの杜
(新古今和歌集 十九神祇 西行法師)
△別宮摂社(瀧原宮)
しらいとのたえずおちくるたきの原 あとたれそめていくよへぬらん
(夫木和歌抄 三十四神祇 荒木田延季)
たきのはらならびの宮の神たから 尚すゑつゞくおきつ白浪
(夫木和歌抄 三十四神祇 民部卿為家)
△神嘗祭カンナメサイ
長月やおくるにぎてに伊勢の海の 波のしらゆふ懸やそふらん(年中行事歌合 守長)
△月次祭(大和舞の御歌)
みなづきのおゝよそ衣ひざつきて よろづよまでもかなであそばむ
みやびとのさせるさかきを我さして よろづよまでにかなであそばむ
大宮の 戸影にきゐる おきの鳥 それをみて そらの荒たか とびかけるめり
大宮の ちぎにおひたる やまかさき よろづをちよに つかへまつらむ
第一 あめなるや やかりかなかなるや われひとのこ さあれどもや やかりかなか
なるや われひとのこ
第二 みちのべの こたちばなを ふさをりもつは たがこなるらむ
第三 とうとうみ みなさのやまの しゐがえだを ふさをりもて はゐまろもとる
第四 いよゝとぞいふ きみがよは ちよとぞいふ ちよとぞいふ むらさきの おび
をたれて いざやあそばむ
第五 おほみやの まへのあられす たれあられあられ むかかよへば そつまもそろ
ふ
第六 おほみやの まへのかわのごと かはのながさ いのちもながく とみもしたま
へ
第七 やまがはに すむやをしのめとり ましやこのよに なゝたび つまごひやする
第八 やまがはに たてるくろめ すこめ まさふくや よきこに てをとりかけて
とざやあそばむ
第九 みなみなき とりはかりにぞ あられふり しもおくよも よともさだめず
第十 おほかはやなぎ はびろくてたてる おほかはやなぎ よきかこに てをとりか
けて いざやあそばむ
第十一 はまにいでゝ あそぶちどりなり あやしなき こまつがうへに あみなをか
れそ
第十二 たちばながもとに みちをふみて かうばしや わがゝよえばぞ つまもそろ
ふ
△朝夕御饌ミケ(御水)
をしほ井をけふ若水に汲みそめて 御あへたむくる春は来にけり
(風雅和歌集 十九神祇 度会家行)
世々を経てくむともつきじ久方の あめよりうつすをしほ井の水(同 度会延誠)
山里の朝気の水を結身も 御井オモヒの神の恵とはしれ(詠大神宮二所神祇百首和歌)
△臨時奉幣(奉幣使参斎宮)
むかしせしあらましごとのかはらぬを うれしとみえばいはまし物を(散木葉歌集 雑)
いせの海のしほひの方へいそぐ身を うらみなはてそ末もはるけし(同)
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